第2話 カテゴリーキラーとブランディング
「現在、大手のコンサルティング会社に頼んでブランディングに取り組んでいるが、なかなか思ったようなブランドができません。一体何からどのように取り組んだらよいのでしょうか・・・。」
先日、ある地方の食品メーカーの経営者が当社にいらっしゃったときの話です。
※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。
「ブランディングに取り組みたい」と、当社には多くの経営者がご相談にいらっしゃいます。
今回の経営者もその一人でした。ご相談内容としては、大手のコンサルティング会社に依頼して、自社の商品のブランド化を進めるために企画書があがってきたものの、ブランディングの内容に今一つピンとこなくて悩んでいるということでした。
ご縁が合って当社に相談に来られましたが、その企画書も合わせて拝見すると、きれいな企画書にまとまっているものの、中身が薄く驚きました。
特にポジショニングマップはひどいもので、ざっくりとした切り口を並べただけで、消費者に刺さるモノにはなっていませんでした。
もちろん、売り出してみないと分からないこともありますが、企画の段階で、論理的に仮説検証が十分出来ているかという点が重要です。
このケースは、ポジショニングマップの基本が理解出来ていない人の企画書でした。これではいくらブランディングを頑張っても会社の売上につながるブランディングにはなりません。
その会社は、それまでに1,000万円以上ものコンサルティング費用が発生しているということでしたから本当に残念です。
巷には、ブランディングと称して、デザインで、ただきれいに見える会社パンフレットや、理念やフィロソフィーを見える化し、素敵なブランドブックやウェブサイトにしあがっているものの、一体、どのように顧客に突き刺さるブランドになっているのかが見えてこないケースがあります。
先ほどご紹介した大手のコンサルティング会社でも、企画した商品のブランディング、差別化がほとんど見えてこない企画書になっていました。
そもそもブランディングとは何か?様々な定義づけがある中で、私たちがお伝えしているブランディングは、
「自社の商品、サービス、事業や会社が、顧客にとって、より価値が高いと感じてもらうための活動のこと」
とお伝えしております。
デザインをキレイにする、理念や志を語る、サービスの質をあげる、それはそれでブランディングのための要素となり得ますが、それだけではブランディングにはなりません。
必要な要素の全体感を把握し、何から順番に手がけていくのか、そのことが大事なのです。
それは、強い「想い」をもって、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業を展開することです。
一般的には、カテゴリーキラーとは、百貨店など大手の総合小売業に対して、ユニクロやニトリなどの、あるカテゴリーに絞った業態で展開する小売業のことを言います。
しかし、ここでは、それを商品やサービス、事業にも当てはめて表現しています。
当社が定義するカテゴリーキラーは、総花的なターゲットへの訴求、商品やサービスの切り口を思い切って絞り込んだり、または、顧客にとっての魅力ある訴求を行ったりします。
そのことによって、その会社の商品やサービスの新しいカテゴリーを創り出したり、または既存のカテゴリーを無力化するほど、顧客にとって喜ばれる新しい価値を生み出し、独自の市場を創り出すことを目的としたものとなります。
それによって、市場は活性化していくのです。
ブランド化された多くの企業を見ると、その会社には必ずと言っていいほど、「カテゴリーキラー」商品が存在することに気づくでしょう。
それは今でも売れ続けているものもあるし、時代とともに変化しているものもありますが、「〇〇会社と言えば〇〇」と言われるような代表的な商品があります。
そのようなブランドは一朝一夕にできたものではありません。
例えば伊藤園の「おーいお茶」は、開発・ブランディングに何年かかったと思いますか?
実に9年です。
しかし、まだまだ多くの経営者が「カテゴリーキラー」を生み出す意味合いを知らなかったり、それを生み出すまでの時間を待てません。
当社が指導を行った「カテゴリーキラー」商品である「男前アイロン」が、集英社が主催する「ジェネリック家電製品 生活家電部門大賞」を授賞しました。その取り組みは、当社のお客様事例でご紹介しております。
https://www.mr-m.co.jp/voice/%e5%a3%b2%e4%b8%8a10%e5%80%8d%e5%a2%97%e3%80%82%e7%94%9f%e7%94%a3%e3%81%8c%e8%bf%bd%e3%81%84%e4%bb%98%e3%81%8b%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%bb%e3%81%a9%e5%a3%b2%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%83%92
株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
村松 勝