第36話 差別化を実現させる方法
「当社は、競合他社がほとんど同じようなことをやっている業態で、なかなか差別化しづらいのですが、どうしたらよろしいのでしょうか?」
先日、ある講演会でお話しした後に、名刺交換をさせて頂いた方からの質問です。
※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。
もし、あなたが経営者であれば、このような会話は耳にされた経験があるのではないでしょうか?
当社では、このような他社との差別化方法に関する質問を業界に関わらず数多く受けます。やはり差別化が出来ていないとすれば、いずれは競合と同質化してしまい、待ち受けているのは、過当な価格競争です。
価格ドットコムにしても、アマゾンにしても、今やネットの普及によって、並べられた同じような商品はすべて価格比較が容易な時代になってしまいました。
ゆえに差別化は、いずれの業態も、事業も、商品も考えていかねばならない、経営の最大の関心事だといっても過言ではないでしょう。
それでは一体どのように違いを生み出していくのか?
当社では、そのような差別化を生み出していくプロセスとノウハウをコンサルティングで提供しているわけですが、その会社独自の差別化は、必ずしも何かの天才的なひらめきや啓示によってのみ生み出されるものではありません。原理原則に基づいて、議論を積み重ねてこそ精度の高い差別化が生み出されます。
とはいえ、いくら差別化のやり方やノウハウがわかっていても、結局は、ウンウンうなりながらひねり出す、考え出す、創り出す、といったことを日々行っております。
そのため、その考える時間が終えると、まるで頭から湯気が出るような熱い感じになり、一時は興奮状態になっているものの、冷めてくると、とたんに脳の疲れが一気にやってきて、めまいのような、何かボーっとした感じなることもあります。
結局は、一生懸命考えるしかないわけですが、それでも、方法を知らないよりは、知っているほうが、つまり、インプットの質や量が多いほうが、アウトプットの質も格段に高まります。
現在進行形でコンサルティングを行っている会社でも、非常に差別化が難しい業界がいくつかあります。
大手企業が何社も存在し、一方で小さい企業も数多く存在し、それぞれがそれぞれ得意分野を持ちながらも、多くの企業が、総合的なソリューションを持っている。そうすると、何かの技術やスキルで突出するといっても、明確に購買者に対して違いを感じさせることも難しかったりします。
しかし、そのような状況においては、最終的には、その企業の持つ強み、その企業らしさ、想い、などを勘案した上で、かつ競合とも並べて比べ、購買者のニーズに照らし合わせて考えていったところで、「競合は絶対に訴求できないだろう」、というポイントを探していきます。
その作業を徹底的に深掘りしていったところに、自信を持って断言できる訴求ポイントを見つけ出すことが出来るのです。
もちろん、そのポイントが、購買者のニーズからずれたものであったら、競合との違いにおいて、どんなにすごい訴求ポイントであっても、あまり効果がありません。
それは独りよがりの差別化になってしまうからです。
もし、検証が弱い、独りよがりの差別化のまま、商品化したり、新たに事業を立ち上げたりすれば、それは、かなり高い確率で失敗に終わります。失敗に終わってしまう新商品、新サービス、新事業は、差別化の検証が弱いケースがほとんどです。
さて、このように見ていくと、冒頭の相談から導き出される答えとは何か、すでにもうおわかりかもしれません。
「当社は、競合他社がほとんど同じようなことをやっている業態で、なかなか差別化しづらいのですが、どうしたらよろしいのでしょうか?」
その回答としては、少なくとも2つの方法を申し上げました。
まず一つの方法は、同じようなことをやっている業態であっても、競合をよく調べる、ということです。それを出来るだけ徹底的に行うことが大切です。何をしているのか、何を打ち出しているのか、徹底検証をしていきます。
もう1つの方法は、ターゲットにしている顧客のニーズを深掘りしていくということです。これが一番大切です。自社にとって当たり前のことであったり、もしくは思い込んでしまって行っていることが、意外とずれてしまっている場合があります。一歩引いて顧客を眺めたときに、良いヒントや視点が見つかるものです。
そして、その上で、何か1つのものでも、エッジの効いたものを立たせてください、とお話ししました。
もちろん、その会社(講演会で質問にきた会社)は、その業界における解決手法という意味では、スキルとして何でもできるようなのですが、しかし、わかりやすいフラッグを立てることによって、顧客に興味や関心を抱いてももらうことが大切ですよ、ということをお伝えしました。
そのエッジやフラッグとなる商品(またはサービス)のことを当社では、「カテゴリーキラー」と呼んでいます。カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・差別化された強いサービス、差別化された強い事業のことです。
これをまず一つ立てる。
このことが、顧客のアンテナにひっかかっていく、一つの大きなよりどころとなっていきます。
しかし、この一つを立てることの難しさもあります。つまり絞ることの怖さです。絞ることによって、獲得できる顧客が減ってしまうのではないか、という怖さです。
この質問をされた会社の方も、絞り込むことに対して少し怪訝な顔をされておりました。何でもできるという自負があり、それだけしかできないと思われたくない部分もあるのでしょう。
ただ、私たちが深く認識しなければならないことは、競合と同じようなことしかできないと見えてしまったら、埋もれてしまい、目立たず、結果として、差別化できず、関心を持たれないということです。
あなたの会社は、他社との差別化されたエッジの効いた何か、興味関心を抱かせるフラッグはありますか?
株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
吉田 隆太
【追伸】
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