第69話 新しいことを始めるときに大事なこと
「売上は前年比2.5倍増! 見込客は3倍増!
驚くほど早く効果が出て忙殺され、まさにうれしい悲鳴です!」
法人向けに商材を開発して、販売している経営者からの嬉しいご報告を先日頂きました。
※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。
この経営者は、サラリーマン生活を経て、数年前に起業しました。
立ち上げてから、それなりに商材を販売してきたものの、今ひとつ、自社商材の価値が伝わらない、とても良いモノなのに広がっていかない、という状況に直面していました。
昨年のちょうど今ごろ、当社のセミナーを受けられて、その後すぐにピンとくるものがあって、コンサルティングを受けることになりました。
私がお会いして非常に印象的だったのか、何しろ未来に対してワクワクしている、ということでした。
そういう方の話は止まらない・・・(笑)、こちらとしても楽しくお話をお伺いするのですが、もちろん当社として、いかにしてより良い戦略を描くかということが大切ですので、その方のお話や資料も含めて、アウトプットしていきます。
ただやはり、その経営者のワクワクした熱が我々にも移るのでしょうか、その組み立てた戦略も、とても面白い伝わるものとしてつくっていくことができました。そのことは、もちろんお客様にも、伝わっていったのでしょう。
それで年商が、半年ぐらいで2倍になったと報告してくれました。
どうしてもこれをしたい、こんなふうになっていきたい、これをやっていきたい、という心の奥底からわき出るようなワクワク感は、周りにも伝染し、結果として成果につながります。
しかし、もちろん事業とは、そのワクワク感や想いだけで、残念ながら、お客様のニーズの壁(つまり購入に至る)を乗り越えられません。
そのため、その想いに戦略という論理を加味していきます。
マーケティングというのは、自社の提供する価値と、お客様のニーズの接点探しのようなものなのですね。
ここを一緒に探っていくのが当社の役割というわけです。
ただし、当社に戦略立案を期待して、想いもなく儲からんかな、でご相談にくる経営者に対しては、その事業をお手伝いしていく意味合いもないので、お断りすることもあります。
もちろん、「想いは無い」と言っていた方が、お話をよくよくお伺いすると、崇高な想いは無いのだけれども、人間としての大切な価値観やポリシーを持っていたりします。
そのような場合は、想いをうまく言語化できていないだけで、それを引き出していくと、とても素晴らしい想いを語ってくれることもあります。
当社のコンサルティングの特徴の1つに、最初にビジョンを作ってもらうことです。これは何も会社のビジョンということだけではなく、コンサルティングでやりたいテーマ(事業や商品、サービスなどいずれにしても)を通じて、どのようなビジョンを描いていくか、ということを考えてもらいます。
そのポイントとして1つお伝えしていることは、社員さんがそのビジョンを聞いたときに、「ワクワクするか」、です。
そのことを一緒にやりたい、と思うようなビジョンでないと社長が1人でやっている会社ならばまだしも、社員さんがいる場合には巻き込んでいかないと、描いたビジョンもカタチになっていきませんので、非常に大切なことです。
あと、ビジョンは、未来のありたい姿やなりたい姿であって、数値目標ではない、ということも大切です。
経営者は数値に対して、ワクワクするのですが、社員さんの多くは数値、例えば、売上が何億円の会社になりたい、ということでワクワクする方は、そう多くありません。
そのことは、実は脳科学の世界でもわかってきています。
1960年代に、ポール・マクリーンという人が「三位一体の脳」という仮説を提唱しました。
それは、ヒトの脳というのは三層構造になっており、一番真ん中から外へ向けて
- 爬虫類脳 → 脳幹 : 動物が「生きる」ための脳
- 哺乳類動物脳(情動脳) → 大脳辺縁系 : 快・不快を「感じる」ための脳
- 人間脳(理性脳) → 大脳新皮質 : 人間が「考える」ための脳
とあります。
人間がモチベーションとなって突き動かされるには、1の爬虫類脳もしくは2の哺乳類動物脳まで到達した「コト」です。
裏を返すと、3の人間脳において、理性的に考えただけの「コト」では、人間が動くモチベーションになりづらいということです。
つまり、単なる数値目標というのは、人間が脳で考えた「コト」ですので、社員さんにとっては、ワクワクしません。
そうなると、社員さんを巻き込めずビジョン達成ができません。
一方で、社員さんがワクワクするような「コト」、ビジョンを掲げることができれば、一緒に取り組んでもらうことができます。
いかにしてワクワクするビジョンを掲げていくかも経営者としては大切な仕事の1つとなります。
新しいことを始めるときに大事なこととは、最初に想いありきで、ワクワクするビジョンを掲げるということです。
一方で、前述したとおり、想いやビジョンだけでは、お客様のニーズの壁は突破できません。一方的な押し付けだけでは、お客様が購入したいといった気持ちに至らないことが往々にしてあるからです。(恋愛を思い浮かべるとわかりやすいかもしれませんね!)
そのため、新しいことを始めるときには、必ず仮説としての戦略を立てましょう。戦略を立てることで、その成功確率のための精度を高めていくのです。
長く、そして、うまくいく、事業や商品、サービスは必ずそのことを経てから、世の中に提供されています。
もちろん、やってみなければわからないため、実際に売り出していくことも必要でしょう。しかし、後から振り返るとき、そもそもの仮説が無ければ、その事業や商品、サービスの良し悪しの判断ができません。
あとまた、ワクワク感だけでとりあえずやってしまう、という危険性は、その時間とコストのロスを取り戻せないことです。
かけた費用は、後からうまくいけば取り戻せるでしょう。しかし、そのかかった時間は、もう取り戻せません。特に年齢が上がれば上がるほど、時間をいたずらに費やしてしまうことは、やり直しがきかなくなってしまいます。
経営資源の中で一番大切なものは、経営者の時間、です。
新規事業を立ち上げて、事業によってはうまくいくかどうかまで、あっという間に3年ぐらい経ってしまいます。それだけ経営者も年を取るということです。
このことを肝に銘じておかないと、せっかくの社会に必要とされる大切な事業内容であっても、戦略がないゆえに、長らく足踏みをしてしまって結局、時間切れ、資金切れで、価値ある事業内容も世の中に提供することができなかった、なんてことが起きます。
さて、冒頭の経営者は、ワクワク感によって優れた感性や直感が働き、戦略の必要性と、当社を引き寄せたのかもしれません。
そんな経営者ですから、コンサルティングがスタートすると、ワクワク感で一杯なため、途中でしびれを切らして、すぐにでも取り組みたいご様子でした。
ただ、ご自身も中途半端な仮説や戦略のままで提供しても、うまくいかないことがわかっていましたので、終わるまで我慢して頂きました(笑)。
コンサルティングが終わってからの行動が早かったですね。どんどん打ち手を実行し、前述したとおり、
「売上は前年比2.5倍増! 見込客は3倍増!
驚くほど早く効果が出て忙殺され、まさにうれしい悲鳴です!」
という成果につながりました。
もしかしたら、今、あなたは新しいことを始めようとしているのかもしれません。
その始めたい理由は何であれば、その事業や商品、サービスを提供するのにワクワクしていればいるほど、いったん冷静になって、せっかく始める事業の戦略がしっかりと描けているか、今一度、確認してみてはいかがでしょうか?
株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
吉田 隆太
【追伸】
当社のホームページでは、「お悩み解決事例」を多数公開しています。いずれの事例も、「戦略」をしっかりと描き切り、成功へとつながっていった実例となります。様々な業種の事例を公開していますので、参考になりそうな企業があれば、ぜひお読みください。