麻とマーケティング
私の後輩で、都内で区から土地を借りて一生懸命野菜をつくっているS君がいます。彼が先日、小雨の中、畑で一生懸命に麻紐を編んで畳二畳分のネットを作ったそうです。キュウリやヘチマを誘引するネットだそうです。とても大変だったけど充実した仕事ができたと言っていました。
この麻紐のネットは、麻の繊維を紡いだ紐を使ってできたものです。つまり、彼の仕事は、麻を紡いだ人の成果の上に成り立っています。そこには、麻を紡ぐ技術があります。そして、その紐の前に、麻そのものを育てる人がいます。そこにも、麻を生産する技術があります。さらに、これらの麻の原料や紐などを、流通させる人たちもいます。彼らは、コミュニケーションスキルを高めながら、日々営業活動をしています。
S君の仕事の成果は、各工程の専門技術の積み重ねによって形になっているのです。逆に考えると、もし、とても良い麻の原料を生産できても、それを活かす人々がいないと、麻のビジネスは成り立たなくなってしまいます。
最近、よく思うことがあります。それは、世の中に良い考え方やノウハウが沢山あっても、それが、届けるべき人に届いていない事が多いという事です。経済学や心理学、いろいろな学問がありますが、いくら素晴らしい研究をしても、それらが届けるべき人に上手く届いていない。会社や社会生活に活かせるものが、沢山埋れています。
何故でしょうか?
学ばない人が悪いのでしょうか?
学んだ人だけが得をしていればよいのでしょうか?
私は、上手く気付かせてあげることも必要だと思うのです。
良い考えを生み出す人は、研究や考える事が得意な人です。しかし、彼らは、必ずしもそれを上手く伝えられる人ではありません。ここでは、まず、届けるべき人に(学びたい人にではなく)「上手く伝える技術」が必要になります。次に、上手く伝える人がいても、それを実践する事は、とても難しいものです。だから、「実践指導する技術」が必要になります。麻と一緒ですね。各段階において技術が必要なのです。
マーケティングが中小企業に浸透しない大きな問題は、麻の原料で留まってしまっている事です。ですから、私どもの仕事は、「上手く伝える技術」と「実践指導する技術」を磨きながら、中小企業にマーケティングを届ける役割を担うべく日々努力しています。
私どもが、この事業を本格化したのは、今から1年半前です。自分達がマーケティングの案件を請け負うだけではなく、顧問先企業のスタッフの方が、マーケティングができるようになる事を目指す活動です。1年半経過して、少しずつ成果が出てきました。ご理解頂いている顧問先企業の経営者様におかれましては、マーケティングに強い会社になるという決断をして頂き、辛抱強く現場の進歩を見守ってきて頂いております。
先月、ある顧問先企業では、これまで売上が全くなかった新人の営業マンが、マーケティング施策により、数日で見込先企業を数百件獲得する事に成功し、まさに今対応に追われています。とても素直な方で、喜んで対応しています。私は、彼にその分野では、日本一のセールスマンになってもらいたいと心から願っています。
また、本日は、別の顧問先企業が、以下のテレビ番組で取り上げられます。こちらの企業は、昨年よりマーケティング施策によってヒット商品(男前アイロン)を生み出しております。日経流通新聞の第一面でも、大きく取り上げられた商品です。どのように放映されるか分かりませんが、恐らくその商品も番組中で紹介されると思われます。興味がある方は、是非ご覧頂きたいと思います。
放映予定:
6月10日(月) 23:00~
テレビ東京 ワールドビジネスサテライト 特集「日本の底力」
当社顧問先:株式会社石崎電機製作所
企業は、利益を出すために本気でコスト削減をしてきました。しかし、もうそろそろ限界です。売上を上げる投資をしていかなければなりません。この売上を上げる成功確率を高めるのが、マーケティングの役割です。
私が一番嫌いな事は、作り上げた商品やサービスが顧客に届かず、無駄な投資に終わる事です。日本中の中小企業でそのような事が繰り返されています。何度も失敗すればよいという経営者もいます。しかし、その前に、失敗を次に活かせる理論をしっかり持って欲しいのです。失敗の原因がぼやけたまま、次に進めないで欲しいのです。「原因など特定できない」と、聞こえてきそうですが、仮説をもって、次の施策に挑んで欲しいという事です。そして、マーケティング力を強化して、仮説の精度を高めて欲しいのです。
我々の活動は、中小企業にマーケティングを実装させるという、まさに新規マーケットです。道半ばの活動ですが、多くの中小企業に価値を届けていきたいと思っております。
政策に頼るのではなく、個々に強い企業を創出していく事こそが、日本の本物の再生シナリオであると信じています。想いの強い中小企業が、マーケティングに目覚め、日本経済が発展していくことを願っています。
お読み頂きありがとうございました。
追伸:
もし、お時間がございましたら、前述の番組をご覧ください。
放映予定:6月10日(月) 23:00~
テレビ東京 ワールドビジネスサテライト 特集「日本の底力」
当社顧問先:株式会社石崎電機製作所
http://www.sure-ishizaki.co.jp/