東京オリンピックのエンブレムデザイン。
昨日オリンピックエンブレムのデザインが、野老氏の市松模様のものに決定した。
個人的には、最終選考に残った4つのデザインのうち、この市松模様のデザインが一番個性的で印象に残るものだと思った。
また日本的な印象もあり、華やかな印象ではないものの、日本の伝統的な美が感じられ、フランス人あたりは、好きそうなデザインではないかと思う。
さて、長野オリンピックのエンブレムデザインを手がけた、篠塚正典氏にお会いして、そのデザインについてお伺いしたことがある。
デザインを見ていただければわかるが、冬季オリンピックの各種スポーツをしている競技選手の動きからモチーフを得て、躍動感のあるデザインにしている。
その過程では、何度も何度も下書きを重ねて精緻化した、プロセスを話して頂いた。
その過程を聞くと、ものすごい魂を込めて作られることがよくわかる。
今回の東京オリンピックエンブレムデザインの選考過程では、ミスターデザインの佐野氏による模倣がして指摘され、バツが付いた。
もともと、そのブラックボックス化した選考過程そのものが問題視されたことも、今回の騒ぎを助長した。
佐野氏は、もともと才能のあるデザイナーだと思う。しかし、人気デザイナーになったことで仕事に忙殺され、あのようなことになったのではないか。また、デザイン制作会社はスタッフを抱える中で、ある程度のデザインはスタッフが行う分業制であることが多い。よって目が行き届かないこともあるのだろう。分業はしても良いと思うのだが最終責任はやはり、経営者にある。そのため、やはり目の届く範囲で仕事をする必要もある。
デザインは明らかに模倣とわかるものは、やはり問題であるが、音楽でもアートでも芸術といわれるものは、何かをモチーフにして描き出すことが多いように思う。
その境目は曖昧だが、程度にもよるのかもしれない。
モチーフがありながらも、やはりデザインの創造性は必要とされる。
今回の野老氏も、おそらく描き出されるまでに相当な苦労があったのではないか。しかも通らなければ、苦労が水の泡となる。
いずれにせよ、今回エンブレムデザインが決定して良かったと思う。
より良いオリンピックになることを願うばかりである。