カテゴリーキラー商品で、 コロナ禍の倒産危機を超え、年商は 10億 円 から60億 円 に 成 長しました! ー 飲食店舗事業のカテゴリーキラー戦略ー

株式会社タケノ
代表取締役社長: 竹野 孔 様
出会いは2013年。「想い」を大切にした小手先ではないマーケティングに共感
ミスターマーケティングとの出会いは、2013年に行われた「九州の経営者に向けたマーケティング研修」だったそうですね。
竹野社長:そうです。もう12年以上前のことになるので詳細な内容の記憶は薄れつつありますが(笑)、それでもマーケティングの仕組みや必要性を非常にわかりやすく解説してくれたことはよく覚えています。
当時は、我々のような中小企業にはマーケティングというものに対する注目度が今ほど高くありませんでしたが、ミスターマーケティングさんの研修を受けたおかげで、ターゲットや競合の特徴を明確にしたうえで、その戦略をもとに商品をつくり、ネーミングを考えることを早くから実践できました。
当時のミスターマーケティングに対する印象についてお聞かせください。
竹野社長:「ミスターマーケティングさんの考え方には共感できる」と強く感じました。
というのも、多くのコンサルティング会社は「ノウハウ」の話ばかりしますよね。でも、私はノウハウだけで長期的な成長は実現できないと考えています。土台に事業に対する「強い想い」がなければ、最終的に事業はうまくいきません。ミスターマーケティングさんは、そんな想いの重要性や発信の重要性を研修で説いていて、私はとても納得しました。
つまり、「やり方」よりも「あり方」のほうが大事である、ということだと思います。「やり方」を教える人はたくさんいますが、短期的になります。おおよそ販促活動ばっかりの話になります。「あり方」がしっかりしていないと、長続きしません。またお客様も離れていってしまいます。
そのような意味合いにおいても、ミスターマーケティングさんがお話しされている「想い」が大切であることに、大いに共感できました。
ちなみに、研修後はしばらく直接のやりとりはしていませんでしたが、学んだことをコツコツ実践して業績はどんどん上がっていましたし、ミスターマーケティングさんがコンサルティングに入った企業が大成功したというニュースもたびたび耳に入っていましたよ。
彼らの手腕は確かなものだという印象はずっとありました。
業績好調の中、突然のコロナの流行で売上は97%減、経営危機に
2020年から日本に広まった新型コロナウイルスの影響を受け、多くの飲食店が経営に苦戦し、倒産も相次ぎました。当時の貴社の状況を教えてください。
竹野社長:コロナの脅威が日本全国に広まったのは、2020年の2月頃でしたよね。
当社は福岡県を地盤にして、数十店舗の居酒屋を展開しているのですが、そんな当社にとって書き入れどきである歓送迎会シーズンの直前のことでした。3月の予約キャンセル数は全店舗で2万人以上にも上り、フル営業しているにもかかわらず、売上は前年比の3割にまで落ち込みました。
そして、初の緊急事態宣言が出た4月には、1店舗を除いてすべての店舗を休業することに。売上は前年同月から97%ダウンとなり、5月もそれが続きました。しかも、43名の新卒社員を迎え入れたばかりで、給料日には9,000万円以上のお金が出ていきます。
これが3ヶ月続けば「このままでは会社が潰れる」と思い、1週間落ち込み、誇張なしに眠れない日々が続きました。でも、いつまでも落ち込んではいられないと、そして、いつかはこのコロナ禍も必ず終わる」と考えて、自分を奮い立たせ、なんとか立ち上がったんです。
具体的には、どのようなアクションを起こしたのでしょうか?
竹野社長:焼き鳥の通販事業をスタートしました。
その背景には、2019年3月から展開してきた新店舗ブランド「とりかわ竹乃屋」の大成功があります。「とりかわ竹乃屋」は、博多エリアではおなじみの串に巻いた鶏皮串を「博多ぐるぐるとりかわ」と名づけ、看板商品に据えた店です。
最初はJR九州さんからのオファーを受け、小倉駅アミュプラザに1号店をオープンしました。その盛況を受けて、わずか3ヶ月後には2号店を開きました。
実は、同様の形式の鶏皮串の販売において、当社は後発だったんですよ。 しかし、「博多ぐるぐるとりかわ」という特徴的な名前をつけて登録商標をとりました。そのまま販売していれば単なる鶏皮串ですが、「博多ぐるぐるとりかわ」と名前を付けて、ブランディングしたことが成功の要因だと認識しています。
ここは、ミスターマーケティングさんでの学びがしっかり活きていますね。しっかりと、戦略を立てて展開したことで、後発でありながらあっという間に月間80万本をも売るまでに事業を拡大できました。
《博多ぐるぐるとりかわのロゴマークとキービジュアル》

そして、さらなる拡大に向けて大量生産の体制を整えるため、1億円をかけて工場を建設しました。
その工場が稼働しはじめたのが、直後にコロナの流行が始まる2020年1月です。当時はすでに「みずほPayPayドーム」への出店が決まっており、そこでの販売のために鶏皮串を100万本ほど生産し、冷凍保存していました。
そんな状況で、ドームで行われる野球の試合がすべて無観客になって……。そこで、在庫を無駄にしないためにと急遽、通販サイトを立ち上げたんです。
大胆なキャンペーンを展開し、通販事業が成功 全国放送のテレビ番組でも紹介された
通販事業を展開するにあたり、ミスターマーケティングからはどのようなアドバイスがありましたか?
竹野社長:日本全国の飲食事業者が窮地に陥っている中、ありがたいことにミスターマーケティングさんに、改めてアドバイスをいただき、指導を受ける機会を得ました。
ただ単に焼き鳥という「モノ」を売るのではなく、自宅でプロの味を楽しむという「コト」としてブランディングするのが良いということでした。
自社の強みである居酒屋商品や、特に人気のある「博多ぐるぐるとりかわ」を、ただモノとして売るのでなく、ターゲットの今の気分や状況にフォーカスして、それをコトに置き換えて届けていくことです。
そして、コトを届ける上での言葉も重要になってくるということで、「例えば、“宅配居酒屋”のような言葉を使ってはどうか?」という具体的な提案ももらいましたね。
コロナ禍で外食もできず、家に籠っている人たちに、家に居ながら、プロの味を伴う居酒屋気分を味わってもらうという試みです。これはいいと思い、すぐに実行に移しました。
さらに、他の通販事業者ではできない、多店舗を展開している当社の強みを活かしたプロモーションを実施すべきという助言も頂きました。具体的には、営業再開時に実店舗で使える食事券(グループ共通割引券)をつけて販売するというアイデアです。これは、全く考えていなかったので、最初聞いたときは、目から鱗のアイデアでした。
アドバイスを受け、実際にはどのような施策を展開したのでしょうか?
竹野社長:通販で8,000円以上購入したくれた方には、店舗で使える6,000円の食事券(グループ共通割引券)をプレゼントするキャンペーンを展開しました。つまり、実質2,000円の負担で8,000円分の商品を買える計算です。かなり大胆な金額設定ですよね。
この金額設定もミスターマーケティングさんのアドバイスがもとですが、私も最初に聞いた時には、それはやり過ぎなんじゃないか、と思いましたよ(笑)。
しかし、通販事業では、広告費をかけて集客をしていく際に“顧客獲得コスト”がかかるので、そのお金をかけるぐらいであれば、既存のお客様を中心にそれを還元していくやり方が良いと説明を受けて、納得しましたね。
既存のお客様を中心に、コロナ禍で苦戦している当社を応援して頂きながら、かつお客様に喜んで頂けるプロモーションになると確信しました。
このキャンペーンが功を奏し、また私や社員たちが必死に営業したこともあって、4月の1ヶ月だけで5000万円を売り上げました。事業存続の危機に陥っている中で、このありがたい売上は、大きな希望になりました。 一般的に、通販の初月でこれだけの売上を生み出すことは難しいのではないでしょうか。
その後、ミスターマーケティングさんから、「博多ぐるぐるとりかわ」をカテゴリーキラーとして、もっと強く打ち出すべきとアドバイスを頂きました。 少しメニューが多かったので、埋もれていた感があったのですが、看板商品として一点突破で訴求していくイメージでいくべきというアドバイスを頂きました。
これを受けて、すぐに通販サイトの改良を行い、その後、売上はどんどん拡大しました。
マスコミの目にも留まり、テレビ番組で特集が組まれ、約30分間にわたって当社の取り組みが紹介されたんです。放送後の反響は大きく、一気に700件近くの注文が入りました。最終的には、全国放送のテレビ番組でも紹介されたんですよ。
「博多ぐるぐるとりかわ」の成功に続き、通販事業でもマーケティングの重要性を改めて実感しました。
あの大胆な価格設定は、ただの安売りではなく、マスメディアなどで話題にあがるようなPR費用や、コロナ禍が落ち着いた後の実店舗への再来店プロモーション費用として考えることは、アドバイスの段階で聞いていましたが、このようにカテゴリーキラー商品を開発し、大胆かつ的確な販促を行うことで、困難を乗り越えられることを体感したんです。
いずれも、ミスターマーケティングさんのアドバイスがなければ実現できなかったことなので、心から感謝しています。 前述の通り、当社の「博多ぐるぐるとりかわ」というネーミングを付けて、ブランディングで成功しました。
やはり、ミスターマーケティングさんのおっしゃるところの「カテゴリーキラー」、つまりヒット商品を作っていくこと、そして、看板商品を持つことは、ものすごい大事なことです。あれがなかったら、当社はすでに潰れていました。本当にありがたいと思います。
ちなみに、食事券の利用率はいかがですか?
竹野社長:遠方から注文してくれたお客様もたくさんいたにもかかわらず、食事券の利用率は配布分の3割程度にまで上っています。中には初めて来店してくれた方も多いはずなので、顧客の拡大につながったのではと、うれしく思っています。
また今回の成功を経て、最近は店舗ごとにLINE会員の募集にあたり、登録者に2,000円の食事券を配っているんですよ。この取り組みもうまくいっており、新規店舗ではオープン前から見込み客が3,000名を超えることもあるんです。
これも、500円の食事券ではダメなんです。インパクトが足りません。やはり2,000円ぐらいにしてやっとインパクトが出る。やるときは、しっかりと効果が出るくらい思い切りよく。「ミスターマーケティング流」を貫いています。
想いを大切にしたマーケティングで、店舗数は56店舗まで拡大、年商は6倍増に
コロナ禍を経て、現在の会社の状況はいかがですか?
竹野社長:おかげさまで店舗の数は順調に増えており、56店舗にまで拡大しています。しかも、いずれもディベロッパーからの要請を受けて出店しており、今も絶えずお声がかかる状況が続いているんですよ。竹乃屋さんと言えば、「コレ」と思われる、カテゴリーキラーがあってこそだと実感しています。
またエリアも拡大し、東京への進出も準備しています。
売上でいうと、ミスターマーケティングさんと出会った2013年が10億円ほどだったのが、間にコロナ禍を挟んだにも関わらず、今では約60億円にまで成長しました。
それから、コロナ禍の苦境を乗り越えたことで、講演依頼をいただくことも増えましたね。最低でも月に1回は登壇しています。個人的にはまだまだ完全に立ち直ったとは考えていませんが、2年連続で営業赤字に陥ったにもかかわらず、今も社員たちと共にここに立っていることを評価してもらえたのではないかと思っています。
絶望的な状況を乗り越えた今、改めて「経営者に必要なこと」はなんだと思われますか?
竹野社長:冒頭でも触れましたが、経営者には強い想い、信念が必要だと思います。例えば、私はコロナの流行は必ず終息し、再び飲食店が賑わう日がくると信じていました。だから、コロナ禍でも新規出店の検討をやめなかった。
今大盛況の福岡空港の店舗は、2020年に着工した店舗で、総投資額は2億円にも上りました。依頼していた内装会社からは「実費だけ払ってくれればキャンセルしてもいい」といわれましたが、ここで諦めたら二度と福岡空港には出店できないと考え、考え抜いた末に決行しました。周りは猛反対でしたが、最後は自分を信じました。
また、給料日には9,000万円以上のお金が出ていき、3ヶ月続けば会社が潰れる状態であったにも関わらず、当社はコロナ禍でも社員のリストラは行っていません。
それは「共に働く仲間の幸福の追求」という企業理念をもっていたからです。その企業理念に、嘘があってはいけません。実践しなければ何の意味もありません。そのような非常事態においても、やはり経営者の意志が問われるのではないでしょうか。
今回のコロナ騒動でみなさん痛いほどわかったと思いますが、1つの基準となる過去のデータからは判断できないことは今後も起こりえます。そんなとき、経営者の行動指針は信念以外にないのではないでしょうか。
その信念や強い想いを、例えば、ミスターマーケティングさんのような同じ価値観をもった専門家が考えるような戦略に乗せていくことで、その信念が守られて、想いを実現できるのではないかと思っています。
《 福岡空港内にある大型店舗 》
最後に、ミスターマーケティングの評価をお聞かせください。
竹野社長:私がミスターマーケティングさんを評価しているポイントのひとつが、行動に移しやすい指導をしてくれることです。
それも、業種業態、そのときの会社や事業の状況に応じて、的確な指導が行える所です。コロナ禍以前の当社への指導と、コロナ禍で窮地に陥っていた際の指導内容は、もちろん違いました。
ただ、会社や事業を強くする柱は、「自社の強みを活かしたカテゴリーキラーの創出であること」だけは共通しています。
ミスターマーケティングさんは、「竹野社長はスピード感があって素晴らしい」と褒めてくれますが、それは自身が納得できる、的確な指導やアドバイスのおかげでもあると思っています。
長期的に取り組むべきこと、今すぐできることの色分けも明確です。経営において、スピードは重要な要素です。チャンスを逃さないように決断、実行していく必要があります。彼らはそのことをよくわかっていますね。経営者にとっては、非常に大きな味方です。今後もぜひいいお付き合いができればうれしいです。

追伸:
お客様の特別な許可を得まして、インタビュー当日の動画(約8分)をご用意しました。
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※取材時のZoom映像です。写真撮影のフラッシュの影響で、一部映像が乱れる箇所がございますが、ご了承ください。