第1話 カテゴリーキラーと集客
「プロに頼んでチラシをまいてみたが、ほとんど反応がなかった。それなりに投資したのに、まったく成果が得られなかった。何が悪いんでしょうか・・・。」
先日、当社にご相談にこられた経営者の話です。
※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。
このような状況になりますと、たいていは、チラシはだめだとか、ダイレクトメールはだめだ、看板や展示会は意味がない。といって、集客施策自体を否定した結論になりがちです。しかし、このような施策は、それなりの効果があるから昔から存在していますし、これをしっかりと活用している企業があるのです。当社のお客様でも、集客をうまく行い、大きな成功をつかんでいる会社はたくさんあります。
これらの販促活動は、それぞれの施策ごとにその検証ポイントはいくつかあるのですが、そのうちの重要な要素の1つは、接触したいお客様がそこにいたかどうかということです。
もし、そこに、接触したいお客様がいることが明確であれば、その場合は、施策自体を否定する前に、そのやり方を見直すほうが賢明です。理想的なお客様がそこに存在しているとすれば、その場合は、施策そのもののやり方を検証・改善していくことで成果につなげていくことが可能です。
しかし、ここで考えるべき視点のひとつとしてはずせない事が、集客のやり方の前にお客様にとって、その商品・サービス自体が魅力的であるかどうかです。自社の商品・サービスを広げていくために集客は欠かせませんが、この目先の集客に目を奪われてしまい、商品・サービスの質をあげていく、しっかり差別化していくという視点が欠けているケースは、意外と多いものです。集客の前にしっかりとカテゴリーキラーを生み出す必要があるのです。
もし、ある商品・サービスがよく売れているとすれば、必ず競合が参入してきます。また、時代とともにお客様のニーズは変化していきます。ここを無視して、集客のやり方だけにこだわっていても、ある程度は伸びますが、本質的には、中長期で大きな売上げに結びつけていくことはできません。
仮に、あなたの会社の商品やサービスが今は利益が出ているとしても、その利益を生み出す源泉が、わずか数社の下請け事業となっていたり、主要な仕入れ先が1つに限られていたり、販路や紹介先が1つに限られているなど、自社がコントロールしにくい環境下であれば、大きなリスクを持ちます。そして、その恐れている事態は、3年・5年・10年の間にかなりの確率でやってきます。それがやってきたときのイメージは、非常に厳しいもので、短期間で突然ボキッ!と柱が折れる感じです。
私は、これまで10年間の活動のなかで、そのような、大変な事態になってしまった会社のことを見聞きする機会がたびたびあり、そのたびに中小企業は、自社が主体となって、カテゴリーキラーとなる強い商品・サービスを生み出し、そしてその商品・サービスをもって集客をしていく仕組み、循環をつくることが大切であると痛感します。
特に、競合の参入が増えて、事業の中核商品が売れなくなってしまうようなケースは、ほとんどが、その状況にあわせて、強い差別化を生み出すことができていません。一番危険なケースは、自社を上回る強い差別化をもつ競合が出現するケースです。そのような事態に陥ると売上げが減少し、時間との勝負になってきますから、たいていの場合は、あせって集客に翻弄してしまい、本質的な差別化にテコ入れすることを後回しにしてしまいます。すると、資金的にどんどんじり貧になってしまいます。中小企業が集客競争に陥ると、非常に厳しい状況になります。集客の前に、その時々の状況に応じて、お客様のニーズに真剣に向き合って、強い差別化をもって戦う必要があるのです。
結論としては、集客を成功に導き、長期的な事業成長をしていくためには、なんと言っても商品・サービス自体を強くするための戦略が不可欠です。そして、カテゴリーキラーに育てていく必要があります。突然、大変な事態がやってくる前に、利益が出ている間に、是非このこと念頭に真剣に取り組んで頂きたいと思います。利益が出なくなってしまってからでは、理想的な戦略も描きにくくなってしまいます。
追伸:
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株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
村松 勝