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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第107話 後継者はスモールウィンを積み上げよう

先生、わたしは来年、社長から会長になるので、次の世代を育成していくためにも、コンサルティングをお願いできますか?

以前、ある製造業の経営者からコンサルティングの依頼がありました。

 

※「カテゴリーキラー」とは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 

現在、事業承継が多くの中小企業で、課題になっています。

これだけクローズアップされている理由には、人口構造として、団塊世代における大量の経営者が高齢となり、年齢的に引退時期に入っているのが挙げられます。

 

そして、この事業承継のパターンには大きく2つあって、そもそも後継者がいない場合と、後継者がいる場合に分かれます。

前者の場合は、基本的には、廃業するか、もしくは売却などの手段になるでしょう。

 

後者の場合は、後継者がいない経営者からすれば、後継者がいるだけでもありがたい、と思われるでしょうが、その後継者のいる経営者からすると、後継者に対して経営能力としての不安がある、もしくは事業そのものの継続性に不安があり、継がせること自体に迷惑をかけてしまうのではないか、という不安があったりします。

 

後継者に対して経営能力としての不安がある、ことは、優秀な経営者や、それなりにやってきたという自負のある創業者など、能力があればある方ほど、後継者に対して不安を感じてしまうことが往々にあるものです。

 

ご存じの通り、ソフトバンクの孫氏、ユニクロの柳井氏、日本電産の永守氏と、一代で1兆を超えるような著名経営者など含めて、枚挙に暇がないほど、社長を引退しては、また返り咲くということを繰り返している方々がいます。

また、中小企業経営者の方々にも、なかなか後進に譲れず、かなりの高齢になってしまい、後継者自身も、それなりの高齢者になってしまう場合もあります。

 

一方で、事業そのものの継続性に不安があり、継がせること自体に迷惑をかけてしまうのではないか、という不安を持つ方も、よくいらっしゃいます。

 

そのような方の口癖は、

「会社をある程度良いカタチにしてから譲りたい」

です。

気持ちはわかりますが、なかなか良いカタチが訪れることがないままとズルズルと時間だけが過ぎてしまいます。

 

このように見てくると、後継者がいる経営者の課題は、後継者の経営能力を育成していくこと、そして事業そのものを少しでも儲かる事業に成長させるということになるのだと思います。

 

それらの課題を乗り越えていく方法の1つとして、何か新しい取り組みを後継者に任せてみる、というのがあります。それは本業もしくはその周辺に関わる事業でありながら、その取り組み自体は、本業を致命的にはさせないようなことです。

 

例えば、新しい商品をつくる、新しいサービスをつくる、新しい事業をつくる、と言ったことが挙げられます。

または、これまで営業マンを介して販売していたようなビジネス形態を、ネットで販売するビジネス、いわゆるEC事業を立ち上げることなど、新しい売り方にチャレンジするといったことです。

 

この他にも、既存の商品、既存のサービス、既存の事業において、その価値を、より高い価値だと認識させ、粗利益率を高めるためのブランディングに取り組むことなどもあります。

また、これまであった会社の古いホームページを新たに1から立ち上げること自体も、新しい取り組みの1つになります。

 

いずれにせよ、その新しい取り組みを任せて経験を積ませ、うまくいけば本業への売上に貢献できますし、うまくいかなければ、本業が致命的にならない程度のリスクで終わらせることもできます。

 

ここで重要なポイントは、できるだけ新しい取り組みを任せて、経験を積ませ、スモールウィンを積み上げることです。

スモールウィンとは、文字通り小さな勝ちであり、小さな成功ということです。

 

この小さな成功を積み上げることで、後継者に自信を持たせると同時に、周りの社員に対して、後継者としての存在価値を認めさせることができるようになります。

やはり社内からの信頼を勝ち得るためには、実績上げてナンボという現実から目を背けることはできません。

 

このようなスモールウィンの経験を経ないまま、いきなり経営者として任されてしまうと、周りへの説得力がなく、反発を食らってしまうことがあります、

また、本人の自信も育っていないことから、なかなか前進するためのエネルギーが不足して、だんだんと事業が傾いてしまうこともあります。

 

後継者の立場から、経営者に就任して、比較的、滑り出しからうまくいくパターンは、このように小さな成功を積み上げて、満を持して、経営者になっている方が多くいます。

もちろん、先代の経営者の急逝などにより、突然経営者になる方もいらっしゃるので、そのような理想的な事業承継を誰しもが経験できるわけではありません。

 

それでも、会社が大切なのであり、そして社員や取引先、顧客のことも考えて、永続的に経営をしていくことを考えるのであれば、後継者育成から目を背けることは、どんな企業もできないでしょう。

 

現在、ある食品メーカーの経営者は、もともと外部の企業で働いていましたが、家業である父が経営していた事業に戻ってこないかと父から誘われたそうです。

蓋を開けてみれば、借り入れも多く、利益体質ではない受託系のビジネスモデルを続けていたことから、非常に厳しい経営を行っていました。

 

その後継者は、取締役の時代に、新しい商品の開発を行いたいと会社に申し出たところ、リスクがあるとのことで、社内で猛反対をされました。

しかし、当時の経営者であった父は、それでも何とかカタチにしていくことで、やはり後継者としての息子に自信を持たせ、育てていきたいと思っていました。

 

そこで、その経営者である父は、当社の相談に来られました。

コンサルティングをしてもらいながら、商品開発のノウハウを学び、もちろん成功することで、売上も上げ、息子である後継者も育てたい、という想いがありました。

そうして、その経営者の父と取締役であった息子さんと2人でコンサルティングを受けられました。

 

もともとそのようなノウハウや戦略の習得に貪欲であった息子さんは、当社が指導したことに素直に取り組まれ、商品ができあがり、その後、営業マンを引き連れて、大手流通業へ営業に回りました。

 

その結果、大手の5社に採用が決まって、なんと発売開始した初年度から、当時の会社の売上を1.3倍押し上げる結果となりました。

 

その後、その学んだ商品開発や戦略ノウハウを活用して、次々に新商品をつくっていったところ、新商品の成功確率が格段に上がることで、わずか数年で会社の売上が2倍になり、利益体質も改善されました。

 

あるとき、その取締役であった息子さんが当社へ挨拶に来られ、

「先日、社長に就任しました。父は今、会長になっていますが、基本的には、あまり口を出さないでいてくれて、私も自由にやりたいような経営ができています」

との報告がありました。

 

その立ち振る舞いは、以前取締役の時代にお会いした息子さんとは違い、自信に満ちあふれていました。

 

最近は、当社に、このように経営者である父と、後継者の息子さんと、社員が数名入り、チームで、商品開発、新規事業開発、ブランディングなど、カテゴリーキラーづくりに取り組まれている企業のコンサルティングが多くなってきました。

※「カテゴリーキラー」とは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。

 

確かに親子だけで取り組まれると、感情的なもつれから、良い悪いの争いになりがちですが、第三者であるコンサルタントが入ることによって、比較的、冷静に客観的に論理的に物事を進めることができるため、うまくプロジェクトが進むように思います。

 

また、父である経営者も、後継者含めた社員の意見にケチを付けずに、意見やアドバイスを言う、というスタンスで臨まれるので、良い雰囲気で会議ができているようにも思います。

もちろん、後継者や社員の中には、こちらが聞いていても、今ひとつ煮え切らない、言い訳めいた意見も出ることがあるため、聞いている経営者からすると、少々イライラすることもあるように思います。それでも、やはりケチを付けるようなことは我慢して、なるべく前向きに発言をされています。

 

もしあなたが経営者であるならば、後継者に対して、できるだけ新しい取り組みを任せて、経験を積ませ、スモールウィンを積み上げさせてください。

スモールウィンを積み上げることで、後継者に自信を持たせると同時に、周りの社員に対して、後継者としての存在価値を認めさせることができるようになります。

 

もしあなたが後継者であるならば、勇気を持って何か新しい取り組みにチャレンジしてみてください。そして、最初に手がけたことが仮に失敗しても、何度かチャレンジすることで、何か1つ、スモールウィンをつかめるようになります。

 

今のままで経営していくのか、それとも、何か新しい取り組みにチャレンジしていくのか、そのスタンスこそが、今後の会社経営の成功における、成否を握っているのです。

 

これから、何か新しい取り組みを始めてみませんか?

 

追伸

当社では、何か新しい取り組みを始める方に対して、その取り組みの成功確率を上げていくための、「カテゴリーキラー戦略」について、セミナーを行っています。

当社の「カテゴリーキラーの作り方セミナー」については、隔月に1回リアル会場(東京)で行います(次回は7月12日火曜日)。

また、その日のセミナーは、オンラインでの配信も行いますので、どこからでも受講が可能です。

また、隔月でのセミナーを待っていられない、すぐにでもセミナーを見たいという方には、いつでもどこでも受講するができるセミナー動画のオンデマンド配信もあります。

既存の事業にせよ、新しい事業の取り組みにせよ、カテゴリーキラーになりえる売上の柱をつくっていきたい、商品を開発していきたい、会社や商品、サービス、事業をブランディングしていきたい、と考えている方には最適なセミナーです。

今年も半年が終わろうとしており、後半戦に入っていくにあたって、どのように新しい取り組みを始めるのか、ヒントやノウハウ、そして成功した実例について知りたい方は、一度セミナーを受講されることをお勧めします。

 

セミナーについての詳細は以下のサイトにてご確認ください。

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株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太