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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第113話 営業の極意とは「売り込みではなく、○○○○である」

 

営業マンが営業に行くのですが、なかなか商談が決まらず、苦労しています。どうしたらよいものかと悩んでいます

と、先日、ご相談にいらした経営者の方が、現在の課題を話してくれました。

 


 

多くのBtoB(Business to Business(会社対会社取引))企業において、大きな課題は、営業ではないでしょうか。

 

ご相談にいらした製造業を営む経営者の方も、経営の大きな課題に営業を掲げておりました。

対法人企業の場合、直接ユーザーである企業に販売するケースもあれば、商社や小売店などの販路を通じて販売するケースもあります。

 

どちらのケースの場合も、相手先が法人の場合、法人営業と呼び、車や家などの消費者への直接的な営業と分けられますが、営業行為の本質的な部分については基本的には同じだと思います。

 

さて、これまで多くの営業マンを指導してきましたが、その多くの営業マンが抱える課題とは何でしょうか?

 

その1つに、本コラムのタイトルにも掲げた「売り込み」をしてしまうことです。

 

もちろん最終的には自社の商品やサービスを売り込む行為が発生するので、「売り込み」そのものが悪いというわけではなく、ここでは一方的な「売り込み」をしてしまうということに問題があります。

一方的な「売り込み」の問題は何かというと、顧客のニーズが顕在化していないうちに、自社の商品やサービスを売り込んでしまうことにあります。

 

ただ、営業マンにおいては、「売り込み」が悪いと思わずに営業してしまっているケースがあります。

例えば、社長がこれこれの商品を拡販していけ、という指示のもと、様々な企業に出かけていっては、その商品やサービスの紹介に終始してしまいます。

 

または、商談時における相手先との会話の「間」が恐いから、という理由で一方的に話し続けてしまうケースもあります。

このケースは比較的多くの営業マンに散見されます。

 

当社が指導する中で、ロールプレイングという2人での模擬商談をやってもらうのですが、営業マンと顧客に分かれて話し始めると、決められた時間の間、ずっと話している営業マンの方がいます。

営業マンが話し役、そして顧客が聞き役に分かれてしまって、ほとんど会話になっていないのです。それでは話は弾みません。

 

このように、自社の商品やサービスを紹介することに一生懸命で、一方的に売り込んでしまう、または、「間」が恐いので話し続けてしまうことが多くの営業マンの習性としてよく見られるものです。

 

ではいったいどうしたら、そのようにならずに済むのでしょうか?

 

それには、「売り込む」営業行為のスタンスそのものを転換させる必要があります。

 

それが、相手に「売り込み」するのではなく、「聞き込み」というスタンスで営業を行うということです。

 

これが実は営業の極意なのです。

 

つまり、本コラムのタイトルの○○○○には、「聞き込み」が入ります。

 

「営業の極意とは、『売り込み』ではなく『聞き込み』である」

 

となります。

 

では「聞き込み」というスタンスで営業を行うためにはどうしたらよいのでしょうか?

 

それは、相手に質問するということです。

 

相手の状況について質問をしていく中で、課題を見つけ出し、そして、その課題が相手先にとって重要な課題だということをニーズとして顕在化させ、さらに、その課題を解決できる手段として、自社の商品やサービスを提案していく、という流れが大切です。

 

そのために営業マンのスタンスとして大切なことが、質問を通じて相手の状況や課題を「聞き込む」ことなのです。

 

ところで「聞き込み」という言葉は、刑事が使う「聞き込み調査」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

まさにあの行為と同じで、事件のあった周辺住民に対して、「聞き込み調査」を行っている様子を、ドラマなどで見たことがあるでしょう。

そのときには、何があったかのかを刑事が住民に質問して、状況の把握に務めていきます。そのわかった情報から、犯人像を描いたり、絞ったりして、事件を解決していきます。

 

この行為と同様に、営業マンは、顧客に「聞き込み」という行為を通じて、まずは相手の状況や課題把握に務めていくことが、結果として課題解決につながり、そして売上につながっていくのです。

 

当社では、この「聞き込み」というスタンスを用いて行う営業手法のことを、「聞き込み営業術」と称して商標登録も行いました。

 

ただ、この「聞き込み」というスタンスが大切なことが頭でわかったとしても、商談現場ですぐにそのことができるようになるわけではありません。

 

それには、何を聞き出していくために、どのような順番で、どのように質問していくのか、といったことを考えて、ロールプレイングなどで練習していく他ありません。

 

当社の顧客企業において、ある営業マンは、コンサルティングスタート時点で、ロールプレイングをやってもらいました。

 

そうしたところ、聞いているほうが口を挟む間もないほど、一方的な話を続けていました。

 

その方は、営業マンの中でも中堅に位置する方です。

ですので、決して新人というわけではありませんし、それなりに営業経験を積んできた方でした。

 

その様子を見た経営者は、

「自社の営業マンの商談現場の状況が目に浮かぶようで、これではなかなか受注につながらない理由もよくわかります」

とおっしゃっていました。

 

もちろん緊張もあったでしょうし、コンサルティングスタート時点では仕方のないことです。

その後のコンサルティングにおいて、何を聞き出していくために、どのような順番で、どのように質問していくのか、といったことを指導しながら、コンサルティング時間以外でも、仲間の営業マンとロールプレイングなどで練習してもらいました。

 

そして、実際のお客様に対しても、「聞き込み営業術」を意識してもらいながら、営業の実践をしてもらい、経験を積んでもらいました。

 

およそ半年ほど過ぎた頃、その同じ営業マンにロールプレイングを行ってもらうと、明らかにその様子に変化があることがわかりました。

 

余裕感があるのです。

 

その余裕感は、相手に質問し、相手の状況などを聞き出す中で、相手が考える「間」や、話している間の「間」を、しっかりと待てることから感じました。

また、相手の話すペースに合わせていくことで、相手も話しやすく感じますので、この余裕感は自信があるようにも相手には映ります。

 

その企業の経営者の話では、その営業マンが数字をどんどん上げてくるようになった、との話です。

 

見違えた営業マンの顔は驚くほど、頼もしく見えます。

こうなると、当然、顧客である相手先企業の担当者も、安心して仕事を依頼することができるでしょう。

 

 

ところで、この「聞き込む」というスタンスは、何も営業マンだけが習得すべきスキルではありません。

実は、商品開発やサービス開発にも重要なスタンスです。

 

こんな商品が売れそうだ、こんなサービスは受けるに違いないと一生懸命に開発しても、多くの場合が、売れるような商品やサービスにはなりません。

 

その理由は、その商品やサービスの使い手となるターゲットに対するニーズを聞き込むことが、徹底的に不足しているからに他ありません。

 

当社で「カテゴリーキラー」と呼ぶものは、ただ単に何か特徴のある商品をそう呼んでいるわけではありません。

 

「カテゴリーキラー」の定義とは、「競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと」とお伝えしていますが、当然、顧客のニーズが反映された商品でなければ、売れるようになりません。

 

そして、やはり営業力の強化のためには、営業マンの教育の前に、「カテゴリーキラー」づくりが最初の一歩であることは、これまでのコラムでも何度か伝えて参りました。

 

この「カテゴリーキラー」づくりにおいても、そして営業行為においても、さらにはビジネス行為全般においても、自らの思い込みに偏った発想ではなく、あくまでも使い手の立場に立って物事を考えることは重要なことです。

 

 

さて、もし経営者としてのあなたの企業の営業マンが、どのような状況なのか知りたければ、一緒に顧客先に同行営業を行ってみて下さい。

 

あなたの会社の営業マンは、「売り込み」に走ってしまっているようでしたら、いったん立ち止まって、そのスタンスを疑ってみる必要があります。

 

そしてまた、顧客のニーズは何なのかを把握できているかを聞いてみて下さい。

その答えによって、営業がうまく機能しているのか、機能していないのか、判断できるでしょう。

 

営業マンが、「受注につながらない」商談を繰り返していませんか?

 

 

 追伸

本コラムでお伝えしたような営業を機能させるための考え方として、8月29日に出版しました、当社の新刊書籍「中小企業経営者のための法人営業力強化戦略 ~誰も教えてくれなかった3つのプロセスで営業チームが劇的に変わる~」で、詳しく書いております。

 

本書では、ただ単に営業マンの営業教育をすればよいということではなく、根本的な問題解決の糸口を描いております。

 

そして、その根本的な問題解決を図ることによって、もし営業や販路開拓でお悩みの方は、きっと何かのヒントをつかんでいただけると思います。

 

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株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太