儲かる事業をご提案|ミスターマーケティング
COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第125話 新規事業で、やってはいけない「5つの間違い」

 

「先生、実は、当社の事業が頭打ちになってきており、起死回生案として、新規事業に挑戦しようと考えているのですが、ご意見を頂けないでしょうか?」

と、当社に、先日、ある製造業の経営者が個別相談にいらっしゃいました。

 


 

当社にご相談にいらっしゃる様々なケースで、新規事業に関する相談があります。

これから新規事業を手掛けようと考えている経営者の方、または、すでに新規事業を手掛けており、しかし、あまりうまくいかないため、ご相談にいらっしゃる場合もあります。

 

当社の立場からすると、できれば新規事業を始めてしまう前や、何かしらの投資をしてしまう前に、ご相談いただいていたら、と思うことも多くあります。

 

もちろん、うまくいっていなかった新規事業をお手伝いして、うまくいくようにすることも、当社がお役に立てることでもあるのですが、しかし、そもそもその新規事業の取り組みはなかなか難しい、ということもあります。

 

新規事業がなかなかうまくいかない場合の解決方法やポイントについては、別の機会でお伝えするとして、本コラムでは、冒頭で相談があった方のように、これから新規事業を始めようという方に向けて、とても重要なことをお伝えしたいと思います。

 

 

なぜ、新規事業に挑戦するのか?

 

経営者は、なぜ本業から新規事業に進出することを考えるのでしょうか?

それにはいくつかの理由があります。

 

 

  • 本業の売上の頭打ち

 

この理由で新規事業をやろうと考える方は、一番多いかもしれません。冒頭で相談があった経営者もこの理由でした。

 

本業が頭打ちになる大きな要因としては、「顧客ニーズの変化」もしくは、「競合他社の攻勢」があります。

 

「顧客ニーズの変化」とは、これまで必要とされていたモノやサービスが、あまり必要ではなくなってしまったり、別のジャンルのモノやサービスに奪われてしまっていたりするような変化です。

 

身近な例では、例えば、ひと昔前には、年末にカレンダーを送ると喜ばれましたが、現在はスマホで十分なので、ニーズは減ってしまいました。まったく無くなってしまったわけではないですが、市場はかなり小さくなりました。

 

このような状況では、「顧客ニーズの変化」に合わせて、商品・サービスを変えていく選択もありますし、思い切って新規事業に挑戦しようと考える経営者もいらっしゃいます。

 

また、時代の流れで、業界そのものが消滅してしまうようなこともあります。

レコードがCDに変わり、CDがデジタル音源に変わっていったようなケースです。そのようなケースでは、早めに本気の改革に乗り出さないと手遅れになります。

 

その他、現状の事業は、頭打ちにはなっていないものの、近い将来、社会構造の変化や技術革新など、環境の変化で、自社が所属する業界が厳しい状況になっていくと予測を立て、早めに新しい事業に挑戦しようとされる経営者もいらっしゃいます。

例えば、AI関連のサービスがどんどん広がっていく中で、身構えている経営者も多いと思います。

 

たいてい、そのような時、多くの経営者は、傍観していますから、他社にさきがけて新規事業に挑戦することは、大きな意味があると思います。

そういう危機意識が高い経営者は、おそらく10%にも満たないと思います。実際に、そのような危機的な状況を予測して、当社のコンサルティングを受けられる会社もあります。

 

「競合他社の攻勢」とは、他社が価格競争や新しい技術、差別化された商品やサービスを武器に市場シェアを奪っていく状況を指します。この状況も経営者としては、心理的にきつい状況になります。

価格競争が年々厳しくなり、ついには利益が全くでないどころか、赤字でも売上をつくるために、仕事を受けざるを得ないような会社は多く存在します。

 

そのような状況でも、既存事業にチャンスが残っていることも多いのですが、なかなか突破口を見出せないと、新規事業に活路を見出そうと考える経営者は少なくありません。

 

 

  • 強い事業拡大欲求

 

 基本的に、自ら創業したような経営者の方は、挑戦意欲がとても高い方が多くいらっしゃいます。

ここでいう、「事業拡大欲求」とは、売上目標思考が強い経営者が、その数字を埋めていこうとするものです。本業の成長スピードだと、なかなか目標を叶えられないと考え、新規事業を検討します。

 

また、動機として、自己の売上目標というよりは、競合他社、同業社、経営者仲間の成功例を見た焦りや、刺激から、より大きな売上を求める場合も少なくありません。

 

その他、単純に経営者自身の「やってみたい!」という挑戦心が、新規事業を始める動機付けになる場合もあります。

特に社会貢献意欲の強い経営者は、地域、業界、社会に対して、大義をもって挑戦したいと考えており、熱い想いを持って新規事業に挑戦します。

 

  • 将来を見越した上でのリスク分散

 

「リスク分散」を考えて、本業が好調なうちに、新しい事業の芽を育てたいと考える経営者も多くいらっしゃると思います。

ひとつひとつ、丁寧に事業を育てていけば、経営の安定化につながります。長期的にみれば、経営者人材の育成や、挑戦する社風を育てるなどプラスになる面は大きいと思います。

 

この動機を持つ場合、前述の「本業の売上の頭打ち」のケースと違い、経営状況は、好調かそれほど悪くない状況だと思います。

そこで新しい挑戦をすることは、とても健全なことですが、一歩間違えると本業の足をひっぱることになりかねませんから、慎重な選択が必要です。

 

当社には、本業が好調だったところに、新規事業に挑戦して失敗してしまい、痛手を負ってから相談に来られる経営者も少なくありません。たいていが、「新規事業に手を出す前にもっと、慎重に検討すべきだった」と言われます。

 

 以上見てきたように、本業から新規事業に進出する理由についてお伝えしてきましたが、ただ、あらかじめご理解いただきたいことは、新規事業を始めるな、ということではありません。会社の様々な選択肢がある中で、一番良いカードを引きましょう、ということです。

 

その場合、当社も、17年間300社以上見てきて、まだまだ本業でできることがあるのに、と思うことがありますし、経営者の考えている新規事業は、だいぶ危ないなと思うこともありますので、その視座をもって、経営を考えていただきたいということです。

 

 

これから新規事業に挑戦する経営者に問いかけたいこと

 

新規事業を始める前に社長がやる気満々でご相談に来られている場合、たいていは、なんらかの新規事業アイデアを持ってこられます。

 

そこで、当社から、「いや、それは現実的に難しいのではないでしょうか。その理由は・・・」と述べると、明らかに、不機嫌そうな顔になる方もいらっしゃいまして、こちらのアドバイスの器量にもよるのでしょうが、なかなか難しく思うこともあります。

 

1つには、やはり背中を押してほしくて、だったり、アイデアを褒められたくて、もしくは社会貢献につながるのにと思って、相談に、いらっしゃっている場合、反対のことを言われると、どうしても否定されたと思い、面白くないと思うのだと思います。

 

その結果、誰かの否定的な意見は聞かずに、新規事業や新商品開発において、これはうまくいくはずだ、という思い込みと前向きな勢いで、実際に投資をしてスタートしてしまうことが多いのだと思います。

ただ、やはり浅い検証の場合、その多くがうまくいきません...。

 

さて、私たちが、何かしらの新規事業アイデアを持っている方が、その新規事業を始める前に相談を受けたときに、必ずお尋ねする重要な質問があります。

 

それが、

「もし、既存事業の売上がまだまだ伸びるとしたら、その新規事業アイデアは、実行する必要はないですか?

 または、もっと売上が伸びる、他の新規事業アイデアがあれば、そちらのプランでもよいですか?」

 

ここで、だいたい2つに答えが分かれます。

 1.「はい、他の方法でも売上が伸びるのであれば良いと思います」

 2.「いや、今考えている新規事業アイデアを絶対に進めていきたいです」

 

この意味することはわかりますでしょうか。

1番の「はい、他の方法でも売上が伸びるのであれば良いと思います」と答える場合、その新規事業アイデアをやり抜くかどうか、この時点では怪しいということです。強い想いがないとは言いませんが、希薄である場合が多いからです。

 

その場合は、まずは、既存事業において可能性を検討することをお勧めします。当社の経験では、ハードルが高い新規事業に手を出す前に、まだまだ既存事業でやるべきことがあるケースが少なくありません。仮に、新規事業を検討するにしても、多くの選択肢を検討してから絞り込んでいくことを推奨します。

 

一方で、2番の「いや、今考えている新規事業アイデアを絶対に進めていきたいです」

と答える方は、やり抜く意志と、すでに、なぜその新規事業が必要かを考え抜いていることが多く、その場合、必ずやり抜く可能性が高いと考えられ、当社としても、その背中を押したくなることがあります。

 

それでも、市場や競合環境によっては、それほど売上や利益が見込めないような事業アイデアである場合、強い想いはあっても、あまり現実的なビジネスにはならないことも多くあります。逆に、本業の足を引っ張ってしまい、会社全体として傾いてしまうことにもつながります。

ここは、会社の全責任を担う経営者は、冷静に一歩引いて考えていく必要があります。

 

 

新規事業で、やってはいけない「5つの間違い」

 

もし仮に新規事業を進めると意志決定した場合に、気をつけてほしいことがいくつかあります。

ここでは、中小企業が、新規事業を失敗で終わらせないために、特に重要なポイントを5つお伝えします。

 

 

  • 新規事業への過剰な投資

 

やはり本業も傾けてしまうほどの過剰投資は避けるべきです。

新規事業への投資が失敗し、大切な資金のみならず、社員の信頼を失ってしまったという話をたびたび見聞きすることがあります。

 

新規事業は、基本的にはスモールスタートがお勧めです。最低限の投資は必要になってきますが、できるだけ、大きな投資を伴わずに、現状の強みを活かしつつ、テスト的に展開できるものから始めて、手応えを見ていくスタンスが理想です。

例えば、全く別分野の新規事業ではなく、既存のお客様に意見を聞いていったりすることで、効率的なリサーチとテストができます。この場合は、いくつかの仮説を立てて、うまくヒアリングをしていくことがポイントになります。

 

2.リソース分散による本業の弱体化

 

これもよくあります。特に経営者が本業そっちのけで、新規事業に入れ込んでいった場合、だいたいの場合、本業にぼろが出始めることが多く、弱体化していくことがあります。

特に慣れない事業分野に踏み込むと、収益化までに相当の時間と体力を削られますから、その焦りが本業に悪い影響を与えてしまうことがあります。

 

この場合は、やはり本業を任せられるNo.2の育成が必要です。もちろん、人の育成には時間がかかりますが、新規事業を始めて、本業が弱体化してしまうのは本末転倒です。

本業から外れた新規事業に何年もかけて、体力を消耗し、本業も厳しい状況になってしまってから、当社に相談に来られる経営者もいらっしゃいます。

ここは、一旦冷静になって、まずは本業に集中する、そして本業を安心して任せられる体制をつくることに専念することが懸命です。

 

3.戦略の検証不足

 

これが一番多いケースです。進出してみたら、そこには、古参の企業、大企業がいて、勝ち目のない戦いだった、ということがよくあります。そうならないためには、進出する前に、戦略をよく練る必要があります。

 

中途半端な仮説でスタートして、何年も形にならないよりは、徹底的に新規事業の可能性を検討してから、慎重に取り組んでいく方が、結果的に成功確率は高くなります。

 

当社のコンサルティングで期待されるのは、この戦略づくりの部分ですが、どんな事業も、相応の時間をかけて、調査・検証を繰り返して、戦略の精度をあげていきます。

実際のコンサルティングでは、それなりに課題が出ますが、最後まで本気でやりきる経営者は、高い確率で成果を手にしています。

その理由は、一言で言えば、「新規事業を始める前に、現在の資源や体制でも勝てる戦略を徹底的に考えているから」です。

 

.本業と新規事業の掛け持ち

 

新規事業を担う社員が、本業の何かしらの業務も担っていることがあります。いわゆる掛け持ちです。

このような場合、実行フェーズになると、本業の業務が重要視され、新規事業への取り組みが疎かになります。

なぜなら、本業では、目の前にお客様がいたり、短期的にも売上が立つ見込があったり、どうしても、本業を優先せざるを得ない環境があるからです。

そして、悪い意味で、新規事業を進められない言い訳にもなってしまいます。経営者も既存事業が手薄になると思うと、強く言う事はできません。

これを避けるためには、新規事業の担当者は、本業の業務からすべて外し、専任として置く必要があります。そこでは、時間とお金をかけていく覚悟が必要です。

 

しかし、人手が少なくて、なかなかそれができないという場合は、新規事業に手を出す前に、本業を伸ばすための一手を考えていく方が得策です。その方が、担当者も力を入れやすいはずです。

当社でコンサルティングを依頼される会社は、本業をテーマにすることが比較的多くあります。本業をテーマにした際は、売上や粗利益率を高めるための商品・サービスを考えたり、新たな顧客層を取り込むプランを考えたりと、やるべきことはたくさんあります。

 

5.やり切る覚悟

 

やはり、もっとも大切なことは、その新規事業をやり切る覚悟です。

強い想いが必要ですし、そのための投資も人材も必要となります。もちろん、新規事業に限ったことではありませんが、最後に問われるのは、やはりこの部分になります。

 

新規事業は、ニーズが【顕在化】されている市場は価格競争が待っていますから、差別化戦略の立案や、競合多数のなかで自社を選択してもらい続ける努力が必要です。そのハードルをひとつひとつクリアしていく必要があります。

 

また、ニーズが【潜在化】しているような市場は、競合は少ないので、ブルーオーシャンだと言ってうかれてしまう経営者もたまにいらっしゃいます。しかし、そういう市場は、顧客ニーズを掘り起こす難しさに直面します。しっかりと売上を立てられるようになるまでに、何年もかかる場合も少なくありません。

 

このように、新規事業については上記5つのこと踏まえた上で、始める必要があります。

 

もし、あなたが、新規事業について、なんらかのアイデアを検討しているようであれば、前述の通りまず、

 

「もし、既存事業の売上がまだまだ伸びるとしたら、その新規事業アイデアは、実行する必要はないですか?

 または、もっと売上が伸びる、他の新規事業アイデアがあれば、そちらのプランでもよいですか?」

 

とご自身に問いかけて見ることです。

 

そのうえで、よく検討して進めて欲しいと思います。

 

新規事業への挑戦は、魅力的な選択肢ですが、企業が持続可能な成長を遂げるためには、まず「本業の強化」から優先することが基本です。

 

今回のコラムでは、これから新規事業へ舵を切ろうと考えている方に向けて、ポイントをお伝えしてきましたが、ぜひ、前述の「5つの間違い」を起こさないように十分注意して進めて欲しいと思います。

 

追伸

現在、すでに新規事業に挑戦していて、うまくいっていないという方もいらっしゃると思いますが、そこをどう乗り越えていくか、どういうポイントで検証して改善していくべきかについても、後日お伝えできればと思います。過去にそういったコンサルティングも多数経験しておりますので、重要な視点について具体的な事例をもとにお伝えしたいと思います。

 

当社では、新規事業への挑戦、本業の強化のどちらへも応用可能な、戦略の構築方法について、「カテゴリーキラーの作り方セミナー」でお伝えしています。具体的な事例をもとに、どのように自社の売上を力強く生み出していくかについて、詳しく解説しています。

また、具体的な相談をされたい方には、「個別相談」をご利用ください。

 

  • カテゴリーキラーの作り方セミナー 

 詳しくはこちらからご覧ください。

 https://www.mr-m.co.jp/lp/

 

  • 個別相談

 詳しくはこちらからご覧ください。

 https://www.mr-m.co.jp/kobetsu-soudan/

 

 株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太