第75話 PR・メディアの威力
「先ほどテレビ○○から、○○新聞のネット版へのアクセス数が多い内容を紹介するので、来週取材をしたいと連絡がありました。また同時に○○○から明日朝、会社に来て取材し、夕方18時ごろのニュースで放送したいと連絡ありました。やばいことになってきました!」
先日、ある雑貨メーカーの経営者から、メディアの取材が殺到しているとのご報告がありました。
メディアは、凄い力を持っています。
ネットの時代になったといえども、やはり、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、といった4大メディア、いわゆる4マス媒体は、今でも多大な影響力を持っております。
それらの4マス媒体において、よく知られた大企業が、番組や記事に取り上げられたり、CMや新聞などの広告を流しているのを見かけることが多いでしょう。
しかし実は少なからず、中小企業が取り上げられ、脚光を浴びている姿を、あなたも見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
今回のコラムは、大企業に限った話ではなく、中小企業においても、マスメディアの力によって一気にスターダムを上り詰めていくお話をしたいと思います。
意外と知られていない事実ですが、ある有名な金融系企業は、立ち上げ当初からメディアへ頻繁に露出したことで上場しました。また、瀕死の状態にあった、ある雑貨ブランド企業でも、メディアの力を借りて、今や誰もが知る著名ブランド企業に成長しました。
もちろん、BtoCの事業のみならず、BtoBにおいても、頻繁にメディアに顔を出す会社もあります。事業の種類を問わず、メディアを活用し、大きく事業を成長させる原動力にしています。
ところで、それらの企業は、たまたまメディアが目を付けて取り上げたのでしょうか?
実は、そんなことはなく、それら企業はいずれも、ある活動を行ってきました。
その活動こそが、PR(パブリックリレーションズ)と言われるもので、いわゆる企業の広報活動です。この広報活動は、メディアへの情報提供などの働きかけによって、テレビの番組や、新聞、雑誌などへの記事として取り上げてもらうことです。しかもテレビや新聞に取り上げてもらうのに、お金はかかりません。
このことを意図的に行うことでメディアが取り上げます。ただ待っていて、メディアが勝手に取り上げてくれるわけではありません。
では、いったいどのように具体的な活動を行って、メディアが取り上げてくれるにいたったのでしょうか?
と、その前に、そもそもなぜ、それほどまでにメディアというものは、力があるのでしょうか? そして、メディアは人を動かす情報源となりえるのでしょうか。
マーケティングの領域で有名な心理学の書籍があります。それが「影響力の武器」です。
これは、アメリカを代表する社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニ氏が、「何が人を行動させるのか」ということを心理学に基づいたアプローチによって描かれています。
その「何が人を行動させるのか」の「何」には、6つあると言われています。そのうちの1つに「権威」というものがあります。
この「権威」とは、「肩書きや経験などの“権威”を持つ者に対して、人は信頼を置く」という意味で言われます。
特に、人ではなくとも、メディアという社会性や公共性があるように思われている媒体(組織)というものは、それらが紹介した情報は価値がある、という認識を視聴者や購読者に思わせる力があります。これがメディアに力があると考えられる理由です。
つまり、テレビの番組や、新聞の記事で紹介されているほどのものであれば良いものだ、と人は思うのです。これがいわゆる「権威」の力です。
この力は、CMや新聞などの「広告」とは違います。
広告はいわゆるお金を払って掲載されているものです。つまりお金を出せば買える媒体だとすれば、その広告への信用は、番組や記事などで制作側が取り上げた情報よりも、残念ながら落ちます。
しかも、テレビCMにしろ、新聞広告にしろ、4マスメディアへの広告は、莫大な費用がかかります。
以前、当社がコンサルティングしたあるサービス業の会社は、PRをお勧めしましたが、経営者の知り合いに広告代理店の知り合いがいたことから、思い切って数千万円のお金をかけて、ある地方のテレビでCMを流しました。
しかし、その結果、反響が1件しかなく、がっかりしていました。
広告の良いところは、お金を出せば必ず、テレビや新聞などのメディアに掲載されるということです(もちろん情報の内容は審査がありますが)。
一方で、PR(パブリックリレーションズ)などの広報活動によって、何かしらの情報をメディアへ提供しても、必ずしもメディアが取り上げてくれるわけではありません。
広告とPR、どちらがよいということは一概に言えませんが、しかし予算の少ない中小企業において、莫大な費用を投下できないとすれば、やはりPRに力を入れることをお勧めしています。
それは、テレビCMや新聞などへの広告に比べれば、格段に安い費用で、メディアへ露出できる可能性があり、もしメディアへ出ることができれば、その費用対効果は、広告よりもはるかに高く、しかも視聴者や購読者などの消費者からの信用も得やすいからです。
このように考えれば、「売り方」の手段としてのPRを選択肢から外すという手はありません。
それではいったい、どのようにして中小企業はメディアへ接触するのでしょうか?
一番簡単な方法は、プレスリリース(企業の何かしらの情報をメディアへ提供する資料)を配信することです。今では、ネット系のPR会社もあり、自らメディアへFAXなどしなくても、このようなネットによるプレスリリース配信サービスを使えば、何百社ものメディアへ、一括で情報を格安で配信することができます。
または、PR会社に頼んで、PR活動を専門的に行ってもらうこともできます。月々の顧問費用はかかりますが、すでにメディアとの強い関係性をもっているPRマンとつながれば、情報提供もPRマンを通してメディアへ伝えることができます。
もちろん、PRマンを自社で雇用することもできますが、優れた人財を中小企業が雇うことは、なかなか簡単なことではないでしょう。
このようなメディアへの接触の選択肢はいくつかあります。
しかし、ここで重要なことが、いかにたくさんのプレスリリースを流し、どれだけ優秀なPR会社と契約しても、それだけでメディアが取り上げてくれるわけではありません。
その理由は、メディアが取り上げる理由や価値が、情報を提供する会社や商品、サービスに備わっているかどうかが問われるからです。
つまり情報の提供量やコミュニケーション量ではなく、情報の中身の質が問われるということです。
それには、メディアが、社会やトレンドの流れを鑑みて、今、この情報を流すことが、視聴者や購読者にとって価値があるのか、という社会性や公共性などの理由が明確であることや、また、これまでに他社にはない特徴を持った商品やサービスなのだろうか、といった差別化がしっかり感じられるものかどうか、ということを数多ある商品やサービスから、判断しなければなりません。
これらのことを考えると、当社が何度も過去のコラムでお伝えしてきたように、想いのある商品やサービス、事業で、かつ競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業(=カテゴリーキラー)をつくることが、メディアが関心を持つ近道になります。
結局のところ、どんなに優秀なPRマンを雇っても、カテゴリーキラーがなくては、メディアに出ることはできません。そのことは、以前、ある、腕利きのPRマンにも、カテゴリーキラーがなければ、PRしても難しいと実際に言われました。
一方で、当社の実績において、PRマンに頼まなくても、カテゴリーキラーを生み出して、プレスリリースを出しただけで、メディアに取り上げてもらった例も少なくありません。
さて、
「先ほどテレビ○○から、○○新聞のネット版へのアクセス数が多い内容を紹介するので、来週取材をしたいと連絡がありました。また同時に○○○から明日朝、会社に来て取材し、夕方18時ごろのニュースで放送したいと連絡ありました。やばいことになってきました!」
と、冒頭のコメントをくれた雑貨メーカーの経営者から、メディアの取材が殺到しているとのご報告があった、とお伝えしましたが、この会社も、まさに、社会的な意味と、その会社の想いがある、差別化された商品=カテゴリーキラーを創り出しました。
その結果、1つのメディアで紹介された記事が、また違うメディアを呼び、ほとんどの全国放送を行うテレビ局のニュースや、5大新聞全てへの掲載、また第一面を飾るなど、誰もが知っているマスメディアへ露出したことによって、その商品(カテゴリーキラー)は、爆発的な売上を上げることができました。
過去にも当社がコンサルティングした企業において、いくつもの商品やサービスが、PRによって、メディアを巻き込み、その結果、売上を大きく伸ばして、会社の信用をつくり、ブランディングとして成功しているケースがあります。
「ブランドは、広告ではつくれない、PRによってつくられる」
メディアの力を活用することが、売上アップだけにとどまらず、会社のブランド価値を上げ、さらにはそのことで、社員のモチベーション、そして優秀な人財への採用にもつながっていきます。
もしあなたが、売上を大きく上げたいのなら、PRに力を入れ、マスメディアを活用してみませんか?
株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
吉田 隆太
追伸
現在、オンラインでのセミナーのほか、コンサルティングや個別相談につきましてもオンラインで行っております。
もし、次の売上をつくっていきたい、と考えている経営者の方は、それらをご活用ください。
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これからの経営に参考にされましたら幸いです。