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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第80話 BtoC市場で勝ち残るためのタグライン!その重要ポイントとは? BtoC市場で勝ち残るためのタグライン!その重要ポイントとは?


「最近、売上が思うように伸びなくて、ブランディングに力をいれていこうと思っているのですが、現在考えている方向性を見て頂けないでしょうか?」


 

 

 冒頭のコメントは、先日当社に相談に来られた雑貨を扱うメーカーの経営者からの相談でした。

 同社のプレゼンテーションを1時間ほど聞き、非常に素晴らしい事業内容ということが分かりました。

 こだわりぬいた製品を扱っており、そのこだわりのレベルは、おそらく業界一だと思います。

もう10年以上事業をされていて、根強いファンもついています。売上もそれなりの規模になり、たくさんの優秀な社員を抱えていますから、創業期で立上げに苦労している経営者からしたら、うらやましい限りの事業内容だと思います。

 

しかし、同社には、大きな悩みがありました。それは、売上の伸びが鈍化してきているということです。そして、その悩みを克服する手段として、事業のリブランディングを考えているということでした。

リブランディングとは、簡単に言えば、事業や商品の見せ方を変える取り組みです。リブランディングでは、一般的には、ロゴマークやブランドを表現する言葉、イメージカラーなどを変えて、ブランドを刷新します。

 

私どもは、売上の伸びが鈍化してきているという点について、

「創業期は、競合がほとんどいない状態だったのが、それなりの市場規模になっていく中で、類似品が多く出回るようになってきているのではないでしょうか?」

という指摘をさせて頂きました。

 

 社長は、

「そうなんです。売上が上がっていくにつれて、当社の真似をするような商品がどんどん増えてきて、最近は大手企業も参入が増えていきています」

といって、今お考えのリブランディングの方向性を説明して頂きました。

 

 このような相談は、雑貨業界だけに関わらず、様々な業界から相談を受けます。

メーカー系だけでなく、サービス系の経営者からもよく相談を受けますが、本質的には同じことが起こっています。

 

どんな商品、サービスも他にない目新しい切り口で、市場に売り出すと、それがニーズに合った商品だとすると、勢いよく売上は伸びていきます。

 そして、それなりの市場性があれば、だいたい年商5億円から10億円ぐらいは、勢いをつけて伸びていきます。

10億円の規模になるまでに、ネット通販などであれば、3年であっという間に到達するというケースも少なくありません。また、勢いがあれば20億、30億円というケースもあります。

しかし、そんな状況を競合は見過ごしませんので、最初はぽつりぽつりと参入企業が現れ、年商10億を超えた段階から、競合の参入が勢いを増してきます。気づいたら、市場では、珍しい商品ではなくなっています。

 

 当然ですが、10億円ぐらいの規模になると、それまでの社長のトップダウン色が強い個人事業のレベルから、しっかりとした組織運営を求められます。

できるだけよい人財を集めるために、リクルートの投資や人件費が大きくのしかかる時期でもあります。

このように固定費が大きくかかる時期に、市場に陰りがでてくると、経営者が焦るのは当然です。一番気をつけなければならない時期でしょう。

 

 このようなケースで相談に来られる会社は本当に多いのですが、これはプロダクトライフサイクルという市場原理が働くことを念頭に、そもそもこのような状態になることを前提で経営していく姿勢が大切です。

要は、現在の主力商品・サービスはいずれ陳腐化するということです。陳腐化は、競合の参入だけでなく、顧客ニーズの変化や消費行動の変化も大きな要因です。

もちろん、陳腐化してきたから終わりというわけにはいけないので、ここでふんばって次の戦略を考え抜いて、なんとか勝ち抜いて、強いブランドを作り上げていく必要があります。

 

 さて、前述の通り、同社の社長は、この状況をリブランディングで乗り越えることができるのではないかという仮説を持って相談に来られました。

 この仮説は、正しいと思います。

しかし、アウトプットされているブランドイメージや顧客に伝えるメッセージが良いかといえば、少し疑問がありました。それは、発信されているブランドメッセージであるタグラインがぐっときている感じがしないからです。

 

 タグラインにつては、これまでのコラムや私共が執筆した書籍でたびたび解説していますが、簡単に説明すると、商品・サービスや事業を端的に説明するメッセージ(言葉)です。 

 

タグラインはネーミングと並んで、とても重要です。よいタグラインと、そうではないタグラインでは、新規の市場(顧客)開拓のスピードが全く変わります。

当社ではホームページにクライアント企業の成功事例を多数掲出していますが、タグラインで手を抜いている商品・サービスや事業はありません。

逆を言えば、タグラインをしっかり作りこめるかどうかで、新規の市場(顧客)開拓ができるかどいうかが決まるといっても過言ではありません。

 

 以下は、先日成功事例でご紹介したミシンメーカーのロゴマーク、ネーミング、そしてタグラインです。タグラインは、「創業七重年を誇る国内・・・・・ママのためのお手軽ミシンです」という箇所です。

 

 

これを見て頂くと、「子育てにちょうどいいミシン」というネーミングをみて、子育て中のお母さんが興味を持つことは容易にイメージできるでしょう。

そこで、多くのお母さんはこう思うはずです。

「子育てにちょうどいいって、どういうことかしら?」

 

この疑問にこたえるメッセージがタグラインに詰まっています。このタグラインを読んで、さらに興味をもったお母さんが、商品の詳しい内容を知ろうと、その先の情報収集に行動する流れを意図してつくっているのです。

 

 先日のレポートでお伝えした通り、この子育てにちょうどいいミシン、コロナ禍がはじまった時期に発売開始したにも関わらず、自社通販サイトのサーバーがダウンするほど、注文が殺到し、爆発的に売れました。というか、今も売れ続け、供給が追いつかず、品切れ状態が続いています。

 

 また、近々、皆様に成功事例として公開させて頂く予定のハウジング系のサービス企業があります。

その会社は、これまでBtoB市場をメインに事業をしていました。そして、ある時期からBtoC市場に挑戦していましたが、これがうまくいっていませんでした。

それなりの投資をして、ブランディング専門というデザイン会社にリブランディングを依頼したものの、ブランドイメージは、おしゃれにはなったのですが、期待通りの売上結果が出ておらず困っていました。

 そこで、当社のカテゴリーキラーづくりコンサルティングを受けて、根本の戦略から見直し、再度リブランディングを行いました。

するとこの会社もミシンメーカーと同様に、コロナ禍に突入した頃にサービスを開始したにも関わらず、初月から成果を出しはじめ、前年同月比で3倍以上の売上を上げています。(こちらの事例は後日、レポートいたします)

そのサービス系の会社の役員の方がはっきり言っていました。

「デザインを引き上げただけで、おしゃれにしても売れないんですね。そのことが良く分かりました。」

 

 このミシンメーカーも、ハウジング系サービス企業も、もっといえば、当社の成功事例で紹介しているどの企業も、タグラインに力を入れています。このタグラインで、ターゲットの心を動かし、行動を促し、売上に結びつけているのです。

それは、BtoB事業も同じです。実際のコンサルティングでは、事業そのものをひとつの商品と見立ててカテゴリーキラー化していきます。その過程では、どのプロジェクトも、ターゲットの心を動かすためのタグラインを開発しています。

 

先ほど解説した、ミシンメーカーのタグラインを見てもらうとイメージしやすいと思いますが、このタグラインで、しっかりと消費者にベネフィット(便益)やメリットを伝えられなければ、市場拡大はできません。ネーミングだけでは、弱いのです。

 

タグラインが弱いと、ネット通販であれば、その先にクリックしてもらえません。

店頭であれば、パッケージやPOPなどで、よいタグラインが表現できていなければ、手に取ってもらえません。

その手前のバイヤーへのプレゼンテーションも同じです。よいタグラインがなければ、興味をもって聞いてもらえないでしょう。

ネット通販であれ、店頭であれ、バイヤープレゼンであれ、いずれも、タグラインを聞いた受け手が身を乗り出すような状態になるか?ここが大きなポイントです。

 

 少し話はずれますが、当社のコンサルティングを受けて、この重要性を認識してもらっているはずの企業が、コンサルティングが終わってもホームページにタグラインを掲出していなかったり、決まったタグラインが後で残念な形に変更されてしまっていることがあります。

おそらく、タグラインに対する重要性、その認識が甘く、ホームページなどのツールは、担当者に任せきりになっているのではと思います。

タグラインは、事業拡大のための生命線として、戦略的にメッセージを発信していく必要があります。中小企業の場合は、経営を左右する大きなポイントとして、経営者が目を光らせるべき重要事項です。

 

 ミシンメーカーの例で示したように、単品商品のタグラインは、短期的には売上利益をあげるために重要ですが、もっと長期的な視点でみたときに重要なタグラインは、事業のタグラインです。

あなたの会社が、いくつもの商品を持っていたとしたら、それをくくるのが事業です。商品群としてのブランドといってもよいと思いますが、この事業そのもののタグラインがしっかり表現できていることも大切です。

 なぜなら、事業そのものを理解してもらえていないと、顧客との付き合い、接点が、商品単品で終わってしまうからです。

そうではなくて、あなたが、たまたま買った単品商品だけでなく、うちには、あなたにとって魅力的な商品ラインナップが豊富にありますよ!という大切なメッセージをタグラインに込めて、しっかりと発信する必要があるのです。

 この意識が希薄な会社は、事業のタグラインを重視しません。そうするとどうなるか?それは、いつまでたっても単品勝負で、疲弊してしまい、本来は商品を生み出すごとに自社独自の市場が出来ていくはずが、なかなか積み上がっていきません。

顧客には、たまたま商品を買ってもらうだけで、事業やブランドに興味が向きませんから当然の結果です。

 商品・サービスを購入して頂いたお客様に、単品商品のことだけではなく、そのブランドのコンセプトをしっかり伝えて長いお付き合いをして頂く、このことを丁寧に積み上げていく必要があります。

そのために、事業そのもののポジショニングをしっかりと認識してもらう、つまり、事業(またはブランド)のタグラインが、個別の商品と同じぐらいに大切なのです。

 

 根本原因がタグラインではなく、言葉の表現の前に必要な「戦略的なポジショニングが描けていない」というケースも多々ありますが、せっかくつくったポジショニングをただ単に表現していないという、とてももったいない会社も稀にあります。

 

 うちは、キャッチコピーなど言葉の開発には十分気を付けている、いつもプロに依頼して素敵な言葉を生み出している、という経営者も多いでしょう。そのような方は、一度、以下の検証をしてもらうとよいと思います。

 

「そのタグラインは、競合企業でも言えてしまうタグラインではないでしょうか?」

 

よくあるのが、競合の大手企業にぴたっとはまってしまうような、一見素敵な言葉となっているタグラインです。

大手企業の経験が豊富なプロのコピーライターによくありがちな落とし穴です。一見素敵な言葉なのですが、大きな欠点は、その会社らしさや、唯一性が表現できていないことです。このような商品・サービス、事業は埋もれます。

 

埋もれると新規顧客の興味を得ることが難しくなり、あたらしい売上につながりません。

埋もれると広告・販促の費用対効果が悪くなり、収益が悪化していきます。

埋もれると価格競争に陥り、業績悪化のスパイラルに陥ります。

埋もれたままだと、どんどん増え続ける競合に市場を奪われていきます。

埋もれたままだと、事業はいつまでも伸びません。

埋もれたままだと、最後は、マーケティングがうまい企業に市場を奪われます。

 

この埋もれた状況を打開するには、タグラインを徹底的にレベルの高いものにして、顧客の心に刺さるメッセージを開発する必要があります。

 そのためには、表現の手前で戦略をしっかりと確立する必要があることは、これまでも再三コラムで訴えてきた通りです。

当社のコンサルティングにおいても、タグライン開発の前に、この戦略づくりに力を入れています。イメージでいえば、戦略づくり9に対して、タグラインの言葉の開発に1という感じで時間をかけています。

戦略なきキレイな表現というのは、ただの作り手の自己満足です。あくまで、ベースとなる戦略をしっかりと作りこむ必要があるのです。

 

当社には、リブランディングで大切な「お金」と、そしてもっと大切な「時間」を大幅に失ってから、来られる会社が後を絶ちません。ぜひ、そうなる前に、自社の市場戦略について、徹底検証してください。

 

そして、あなたの会社がこれから、BtoCマーケットをもっともっと切り開いて、自社の想いがこめられた商品・サービスで多くの人を喜ばせていきたいと本気で考えるなら、よいタグラインを生み出す技術を習得すべきです。

 

BtoCマーケットを開拓するなら「よいタグラインを生み出す技術」が必要なのです。

 

 

再度、お伝えします。

タグラインで新規顧客が興味をもたなければ、市場開拓はこの先も難しいでしょう。

 

商品・サービス、事業のタグラインは、競合でも使えてしまうメッセージになっていませんか?

 

株式会社ミスターマーケティング

 代表コンサルタント

村松 勝

 

追伸:
 ハウジング系サービスを提供している会社の詳細は、別途レポートでお伝えいたします。また、当社のホームページでは、「お悩み解決事例」を多数公開しています。
 お時間がある時に是非お読みください。きっと、あなたの会社の成長のヒントにつながる気づきが得られると思います。
「お悩み解決事例」はこちらから
 https://www.mr-m.co.jp/category/case-study/