第18話 「陸王」から学べ!
「新規事業を始めませんか? 強みを活かしてできることを考えてみたらいかがでしょうか?」
これは、現在、テレビで放映されているドラマ「陸王」の第一話で、取引銀行担当の銀行マンである坂本が、主人公である、創業から100年以上続く老舗足袋業者「こはぜ屋」四代目社長の宮沢紘一に告げた一言です。
※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。
ドラマの言葉ですが、もしかしたら、あなたもこれまでに取引銀行や税理士など、どこかで言われたことがあるのではないでしょうか?
この「こはぜ屋」も業績が芳しくなく、融資をお願いしに銀行へ訪れた宮沢は、銀行マンの坂本に、今後、5年後、10年後を見据えた新しい取り組みをするよう提案されました。
その言葉を聞いた、社長の宮沢は、「強みと言ってもねぇ。」と強みを即答できず、また一緒にいた経理担当で、勤続40年以上のベテランで番頭を務める富島玄三は、「こはぜ屋の強みは、100年潰れてこなかった、しぶとさです。」と答えました。
このやり取りだけでも、自社の強みがわからない、また「しぶとさ」という強みとは言えない回答を行っていることに、この会社の問題点が現れている一コマです。
もちろんドラマですので、そこから新しく展開が始まるのですが、意外と多くの会社が、この強みを正確に把握できていないといったことは、これまでのコラムでも何度もお伝えしてきたことです。
この銀行マンの坂本の「新規事業始めませんか?」という一言から、宮沢は、新規事業を考え始め、たまたまスポーツ用品店で見かけた5本足のシューズを見て、マラソンシューズの新商品開発を思いつきます。
しかし、ここでも問題点を挙げるとしたら、新商品や新規事業開発のアイデア、仮説が1つしかない、ということです。他にも色々なアイデアを出す中で検証して絞り込む、という工程が抜けており、非常に危険な決め方だと感じました。
実際の企業でも、意外とこのような決め方が散見されます。これまでも多くの会社がご相談に来ましたが、なぜ、その商品の開発を始めようと思ったのか、また、その会社の強みが活きているのか、を見ていきますと、たいがい思いつきであったり、出会いという偶然性に身を任せて始めてしまったり、と深く考えたりせず、投資してしまうケースが多くあります。
もちろん、思い付きや偶然性を否定しているわけではなく、その1つの仮説にとらわれ過ぎず、いかに考えられる限りの仮説から次の打ち手を戦略的に組み立てていくか、ということが大切です。
また、このドラマの中で、マラソンシューズの新商品のネーミングを決めるシーンがあり、たくさんのネーミング案を出す中で、最終的には、先代が製造にチャレンジしたシューズの名前を取って、「陸王」となりました。「陸王」に決まるまでにかなりの時間をかけて検証していたので良いと思いました。
先日も、コンサルティング指導している会社に対して、ネーミングの会議がありました。非常に議論になったのですが、最終的には、とても良いネーミングに落ち着きました。
このネーミング、実は、非常に大切なのですが、これもまた思いつきであったり、よくあるのが、売り手側の多い込みで付けてしまうケースがあります。
問題は、意味が伝わらない、もしくは良さが伝わらない、さらには魅力的ではないネーミングになってしまうことで、いくら商品が良くても、結果として売れない商品になってしまうことも往々にしてあります。
有名な話ですが、ネーミング1つ変えただけで、売上が上がった商品があります。
例えば、
・フレッシュライフ→通勤快足(靴下) 1年後売上が10倍に。
・モイスチャーティッシュ→鼻セレブ(ティッシュ)売上が4倍に。
・缶入り煎茶→おーい、お茶(お茶)売上が2倍に。
があります。
当社でも、様々なネーミング開発をお手伝いしてきましたが、いずれも、かなりの時間をかけて検証して絞り出す、ということをやっています。
ただし、ネーミングを考える前に、当然のことですが、ターゲットの選定、ニーズの把握、競合の調査、またそれらを踏まえたポジショニングなど、誰に何を売るのか、という戦略の組み立て方が大切である、ということは、改めて言うまでもないですが…。
株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
吉田 隆太
【追伸1】
新規事業や新商品開発を、どのようなプロセスで考えるのか?当社では、このプロセスをセミナーでお伝えしております。もちろん既存事業をより良くしたい、という方も参考にして頂けます。
・せっかく作った商品が売れない
・売上が伸び悩んでいる
・何から手をつけたらよいかわからない
・これ以上、失敗できない
・本業に影響が出る前に何とかしたい
といった悩みを抱えている経営者にとっては、とても参考になります。
これまで10年300社以上のコンサルティング経験から導き出したノウハウと成功事例を一緒にお話しさせて頂きますので、論理的かつ実践的にご理解できるものと思います。
機会がございましたら、ぜひ一度当社のセミナーにご参加ください。
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(経営者・経営幹部対象)
【追伸2】
「カテゴリーキラー戦略」について、手軽に学んで見たいという方のために、小冊子(毎月先着30名様・無料)をご用意しています。お気軽にご活用ください。(経営者限定)