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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第30話 「ストーリー」としてのカテゴリーキラー戦略


 

「想いはあるのですが、それが具体的な戦略として落とし込めていないため、やる気が高まった分、とても悶々とします。」

 

先日、とても想いが強くやる気のある経営者からご相談を受けました。 

 

※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 

当社にご相談に来られる経営者は、比較的ビジョンや理念が明確で、想いの強い方が多く見受けられます。

 

中には、理念やビジョン、想いが全くない、どうしたら儲けられるのでしょうか?と来られる方もいらっしゃいますが、そういった方に対しては、こちらとしても正直気が乗らず、どこか身の入ったアドバイスができません。

 

また、ビジョンが明確ではない、という方もいらっしゃるのですが、よくよく話を聞いてくと、過去において深い気づきがあり、大切な価値観(それが理念にもなりえる)をもたれている方もいらっしゃいます。

 

一概に、想いを持つ、といっても人それぞれですので、その方の想いを大事に聞き出すようにしています。

 

さて、冒頭でご相談頂いた経営者は、自己啓発系の研修会社などへも熱心に通い、ご自身の理念やビジョンを明確にされ、理念経営を掲げております。聞いていくと、非常に強い想いを持たれており、こちらも応援したくなるような方でした。

 

しかし、それらの研修会社に行き、やる気は大変高まり理念やビジョンは見えたものの、具体的に戦略に落とし込めず、逆にどうしたらよいのか、悶々する日々を過ごしているとのことでした。

 

どんな立派な理念やビジョンを掲げても、それに至るまでの道筋(ストーリー)を描けなければ、絵に描いた餅に過ぎません。それも、道筋をただ単に描けばいいというほど単純なものではなく、そこには、必ず顧客と競合の市場環境を鑑みながら、勝てる戦略を立てなければ、そう簡単に、うまくいくものでもありません。

 

その研修会社では、事業戦略を立案するような研修もあり、それも受けたとのことで、できあがった資料を拝見させて頂きましたが、フレームワークとしての枠組みは、教科書的に、大変立派なものであるものの、その経営者が書き出していたアウトプットは、一見するとよく書けているのですが、よくよく見ていくと、どの企業にも当てはまってしまうような内容でした。

 

それもそのはずで、集合研修という名の個人ワークで作ったとのことで、いくらグループの仲間内からフィードバックを受けても、それは、戦略のプロがアドバイスするのとは雲泥の差があります。

 

また、その研修会社の講師に至っても、理念やビジョンの確立を専門としている方が、戦略系の研修を合わせてやっており、そこには、個別のフィードバックがあったとしても、本当に会社ごとでのそれぞれの背景や、市場環境や競合環境を理解した上でのアドバイスになっているとは、思えません。

 

理念やビジョンを確立するための研修は、基本的に個人の価値観の上に成り立つものですから、良し悪しというよりも、その方が腹落ちして、本当にそうなりたいと思うものであれば、自由に描いても問題ありません。

 

しかし、戦略を立案する場合には、自由に描いてもよいというわけではありません。その戦略の精度の良し悪しが、競争での勝ち負けを決定づけてしまうからです。

 

これは前述したように、会社ごとでのそれぞれの背景や、市場環境や競合環境を理解した上で行わなければ、簡単にうまくいくような物事ではないからです。

 

つまり、集合研修でアウトプットしていくというよりも、各個別企業ごとの議論をしていかないと、本当の解を導けません。もちろん、学びという割り切りであれば、そのような研修も有効ではありますが・・・。

 

ところで、以前「ストーリーとしての競争戦略」という本が大変売れて評価を受けていました。学者の方が書いているだけあって、過去にある戦略理論の裏付けをもとに、描かれており、非常に納得度の高い書籍となっています。

 

その本の重要なポイントは、コンセプトから最終ゴール(ここでのゴールは、いかに利益を最大化するか、その目指すべき着地点)に至るまでのプロセスにおいて、無駄のない、一貫性のある打ち手の「流れ」=ストーリー、になっているかということを提示している点です。

 

(ここでのストーリーとは、ブランドストーリーのようないわゆる「物語」といった意味合いではなく、あくまでも、上記のように、論理的な打ち手の「流れ」のことです。)

 

そしてこの「流れ」=ストーリーを作っていく上でも、ポジショニングの確立と自社の強み(組織能力と本では呼んでいるが)を活かして、戦略を組み立てていくことが重要だと言及しています。

 

事業戦略に興味のある方は、一読を勧めます。事業戦略を描いた本の中では素晴らしい1冊だと思います。

 

しかし、1点、この本の物足りなかった点は、事業の起点であるコンセプトを生み出す手法がざっくりとしか描かれていないことです。

 

多くの中小企業の悩みとは、事業をどのような方向性やコンセプトで推し進めて行くべきなのかが明確に見えていないことです。それは既存事業を、競合環境などが悪化して見直す場合もそうですし、新しい事業を立ち上げる場合にも、いかにしてコンセプトを考えるか、という点においては、同様に大切なことです。

 

そのため、そのコンセプトありきでの戦略の組み立ては、そのあとの「流れ」=ストーリーの重要性は大変よく理解できるものの、やはり、どこか物足りなさが残りました。

 

今回のコラムのタイトルを、「ストーリー」としてのカテゴリーキラー戦略、としました。ここでのストーリーという言葉も、ブランドストーリーのようないわゆる「物語」といった意味合いではなく、論理的に組み立てていく戦略の「流れ」のことです。

 

しかし、「ストーリーとしての競争戦略」との違いの1つは、理念やビジョンなどの「想い」をベースにして、一貫性のある戦略を描くことです。

 

そして、結局は、事業コンセプトや商品コンセプト、サービスコンセプトなどのコンセプトは、考え抜いてアウトプットしていくことです。これを外しては良い戦略ストーリーは生まれません。

 

さて、最近、業績が復調してきているマクドナルドですが、先日、マクドナルドの創業者レイ・クロックの成長物語を描いた「ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密」を映画で見ました。彼は、マクドナルドを、アメリカのみならず、世界に拡大していった事業家です。

 

レイ・クロックは、美味しいハンバーガーを提供していきたいという強い想いはあったものの、利益率の低さから、資金繰りが悪化していき厳しい状況に追い込まれていきました。

 

そのときに、後のCEOになるスタッフから、1つの助言をもらいました。その助言による戦略の転換から、マクドナルドは大企業へと発展していきました。

 

その助言とは、マクドナルドを、ハンバーガー屋という定義づけから、不動産事業と定義づけたことでした。

 

このことによって、ハンバーガーの販売からの収益のみならず、土地を、フランチャイズのオーナーに貸し、その賃貸料で収益を生み出していきました。このことが、銀行への借り入れもさらに加速して、事業をより拡大していくことが可能になりました。

 

 同じ事業のように見えても、戦略一つで高収益企業になるのか、それとも厳しい事業体となるのかの分かれ道となります。

 

あなたのビジョンや理念の強い想いをベースにして、戦略にしっかりと落とし込み、競争優位で戦える良い戦略ストーリーなのかどうかを、一度、再検証してみてはいかがでしょうか?

 

株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太

 

【追伸】

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想いが強い方、具体的な戦略になかなか落とし込めない方、まずは、戦略の組み立ての全体感を知りたい方などに対して、これまで10年300社以上のコンサルティング経験から導き出したノウハウを、実践した数々の事例とともにお伝えしています。

 

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