第50話 商売を長く続けていくための「よりどころ」とは?
「色々な商品を取り揃えていて、お客さんに喜んでいただいている自負はあるんです。ただ、当社の特徴である、コレという商品がなく、この次の展開をどうしたらよいのか、悩んでいます。」
先日、ご相談にいらっしゃった、ある経営者から、このようなお話を頂きました。
※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。
あなたの会社には、カテゴリーキラーと呼べるような、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業がありますか?
それは、業界や市場の中で、突き抜けたモノです。
BtoCで展開しているメーカーであれば「商品」、サービス業は「サービス」、またBtoBであれば、製品やサービスのみならず、技術力や事業内容そのものとなります。
受託メーカーであっても、それは、その会社しか出来ないような商品やサービス、技術に相当します。
確かに、顧客のニーズに応えること、そのことは、どんなビジネス書にも書かれていることですし、また著名な経営者が語る言葉でも、そのことを見聞きすることから、本質的なことではあります。
しかし、顧客のニーズに応え過ぎるがあまり、あれもこれもと品揃えし、何でも屋、当社の言葉でいうところの、「よろずや」になってしまうことがあります。
それは、裏を返せば、何屋かわからない会社、店舗となってしまうことです。
仮に色々な品揃えをしていたとしても、その中でも、市場や業界において、きらりと光るような商品やサービスを持つこと、このことが、競合他社の中で埋もれないようにしていくことの重要な解となります。
消費者向けにある小売業を展開する企業の経営者が、色々な商品を展開して、事業は伸びましたが、壁にぶつかったときがありました。そのときに、ある先輩経営者が、こんなアドバイスをしてくれたそうです。
「商売はなー、『単品ど迫力』やでー」
と。
「単品ど迫力」
まさに、これは我々が言うところの、「カテゴリーキラー」と呼ぶ商品です。
その後、この小売業は、1つの商品に特化した業態を開発して、その業態が大ヒットして、その分野では、代表的なブランドとなっております。
過去にも、歴史をひもとけば、長く続いている会社というのは、必ず、過去にヒットし、ロングセラーとなるような代表的な商品を持っています。
現在、NHKで放映している、朝ドラの「まんぷく」。
そのモデルとなっている日清食品のチキンラーメンやカップヌードルなどは、約半世紀にわたって、今でも現役で稼ぎ続けている代表的な商品ではないでしょうか。
しかし開発するまでは、長い道のりがありました。開発に開発を重ねて生み出しています。
「世の中にないものは、生み出せばいいのだ!」
と、その主人公は言っていました。この開発への気概こそが、「カテゴリーキラー」となって、長期間にわたって、会社の屋台骨を支えるのです。
他にも、例えば武田薬品といえば、「アリナミン」。
これも60年以上にわたって、今でも販売している健康補助食品業界における、「カテゴリーキラー」の1つでしょう。
ドリンク剤であれば、大塚製薬の「オロナミンC」などもそうです。これも50年以上にわたって、販売され続けております。
翻って、アメリカの企業は、単品の「カテゴリーキラー」を生み出し、その後、「カテゴリーブランド」として商品群を展開し、それぞれのカテゴリーで燦然と輝くブランドになっていく方程式が、至る所に見られます。
例えば、現在、世界を席巻するネットなどのテクノロジー企業として、GAFAと呼ばれる、4つの企業があります。ご存じでしょうか。
最初のGはグーグル、次のAがアップル、次のFがフェイスブック、そして最後のAがアマゾン。
世界における時価総額上位の企業です。
現在でこそ、様々な事業展開を行う企業ですが、最初のスタートは、業界や市場の中で、突出したカテゴリーキラーを生み出しました。
グーグルでは、検索エンジンに特化しました。
アップルは、スティーブジョブズが、1995年にアップルに復帰したときに、それまで、その前の経営者は様々な事業を展開していましたが、いったん全てをストップさせ、iMacという、インターネットに特化させたパソコンを開発して、一気にブレイクしました。
フェイスブックも、SNSに特化して、世界の代表的なSNS企業です。
また、アマゾンは、書籍のEC通販という書籍カテゴリーに絞ったネット通販事業で、突出させ、その後、家電や雑貨はおろか、食品や動画などの品揃えを行い、EC通販の「カテゴリーブランド」として世界に君臨しています。
いずれの会社も、その礎をつくった事業や商品、サービスがあります。これがまさに、カテゴリーキラーです。
「単品ど迫力」の威力で、業界や市場を突き抜け、一気にブランドとなることを意図してつくられています。
このようにお伝えすると、新しい商品やサービスでなければ、「カテゴリーキラー」と呼べないように思う方がいるかもしれません。
しかし、この「カテゴリーキラー」は、必ずしも、新たな商品やサービス、事業を開発しなければならないということではありません。
これまで行ってきた物事をいったん見つめ直し、これまで培った技術やノウハウ、仕組みなどの、会社が持っている強みを整理して、それに立脚した、顧客に提供する商品やサービス、事業を、カテゴリーキラー化していくことも、十分に可能性があります。
当社に、ご相談に来られる方の半分が、新商品開発や、新規事業開発のテーマですが、残りの半分は、既存事業や既存商品について、どのようにカテゴリーキラー化していくかのご相談です。
前に、ご相談に来られた、地元に根付いて、あるサービスを展開している会社も、既存事業についてのご相談でしたが、色々聞いていくと、魅力的な様々なサービスを展開しているにも関わらず、そのことがお客様に伝わっておらず、大変もったいない、と感じました。
それらの魅力的なサービスが、ホームページにもパンフレットなどにも掲載されておらず、営業マン頼みの説明に終始しているとのことでした。
そのことの重要なポイントは、一度、既存事業の中身をいったん整理し、お客さんに刺さるようなカテゴリーキラーとしてのサービスブランドを生み出して、伝えていくことが大切です。
やはり、どんな中小企業でも、カテゴリーキラーを持つべきです。
それが、長く続けて商売をしていくための重要な「よりどころ」になっていくからです。
貴社では、競合に負けない、「単品ど迫力」の商品、つまり「カテゴリーキラー」は、ありますか?
株式会社ミスターマーケティング
代表コンサルタント
吉田 隆太
【追伸】
カテゴリーキラーづくりについての方法やノウハウ、また具体的な事例について、当社では、本やセミナーで伝えております。
現在、何となく今ひとつ突き抜けない、とお悩みの方は、一度、当社の経営者セミナーにご参加されることをお勧めいたします。
〜前回のセミナー参加者の声(抜粋)〜
●「カテゴリーキラーの作り方のプロセスがよくわかった。自社でも取り組みたい」(サービス業 経営者)
●「これまで、勘だけを頼りに経営してきたが、戦略的に商品を生み出していく必要があると痛感した」(化粧品メーカー 経営者)
●「アイデアだけでは、なかなかヒット商品が生まれない理由がよく分かった」(材料メーカー 経営者)
●「カテゴリーキラーをつくり下請け事業を抜け出した事例がとてもよかった」(受託サービス業 経営者)
●「当社のようなお店も、カテゴリーキラーにしていく必要を感じた」(店舗サービス業 経営者)
●「あっという間の4時間だった。顧問先の経営者に聞いて欲しい」(弁理士事務所 経営者)
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