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組織の成長の場としての会議は意味があるのか?

パソコン前ビジネスマン3人

今回は、少し角度の違った内容について記述したい。

組織の成長の場としての会議は意味があるのか?という問いである。

もちろん会議の目的によって、その有用性は異なるため一概には評価できないが、とはいっても、個人的にはそれでも会議は組織の成長において有用性があると考ええている。

仕事柄、クライアントの社員様と会議を行うことが多い。長い場合には6時間、短くても3時間は会議を行う。もちろんその内容は何かを決めたり議論するためのものなので、ただ単に進捗を確認するためのものだけではないため、時間がかかるものが多い。

最近では、会議が多い、または長い、ことが無駄であるという風潮があるように感じる。経営者がそのように発言していることも聞いたりする。もちろん多忙な中での長い会議を極端に嫌うケースもあるのだろう。

しかしながら会議というものは、ただ単に、その中身についての言語化された情報伝達の手段だけではなく、実は様々な言語化されない情報が行き交っている場という認識で見ることができる。

それは、会議に参加しているメンバーの表情や姿勢や雰囲気など、言葉では物語っていないものを感じる場であるのだと思う。

面白い実験がある。これは実は早稲田ビジネススクールの准教授である入山章栄氏の講演に参加した際に教えて頂いた、組織学習に関する、トランザクティブメモリーという話である。これは、解釈が少し難しいのだが、対人における交換記憶という意味である。

組織では、情報の共有化が課題とされているが、全ての人がすべての情報を知っているというのはもちろん無理なわけで、そのため「何を知っているか」ではなく、「誰が何を知っているかを知っているか」が重要であるということである。つまり人が持つ記憶(情報)を交換することが組織における情報共有の重要な足がかりになることで、それぞれの知識や強みの総和が組織としての強みになるという考え方である。

ホリングスヘッド氏の実験によれば、34組の男女のカップルに共同作業をしてもらい、その成果を比較した。カップルを以下の条件で3つのタイプに分け、

  1. (1)共同作業の際に、会話することも、互いの顔を見ることもできるカップル、
  2. (2)会話はできるけれど、互いの顔を見ることはできないカップル、
  3. (3)会話はできないが、互いの顔をみながら書面の交換によって意思疎通できるカップル、

に分けたところ、どのカップル成果が良かったと思うだろうか?

実は、3タイプの中でパフォーマンスが最も低かったカップルは、(2)で、(3)よりパフォーマンスは悪くなり、また(1)と(3)のタイプでは、作業のパフォーマンスに違いはなかったということであった。

つまり、互いの顔さえ見えれば、口で話そうが、文書交換だろうが、コミュニケーションの効果は大差ない、ということである。目と目を合わせる「アイコンタクト」や顔の表情を通じてのコミュニケーションが、トランザクティブ・メモリーを高める効果があり、彼らは言葉以上に互いの表情や目を見ることで、「誰が何を知っているか」を即時に判断するのではないか、というのである。まさに「目は口ほどにものを言う」ということである。

このような研究結果がもし正しいとするならば、組織のトランザクティブ・メモリーを高めるに、メールや電話のやりとりだけでは得られない、互いに顔を突き合わせての、アイコンタクトや表情、あるいは身振り手振りも含めた、「言語を超えたコミュニケーション」を増やすことの重要性を示唆しているというのである。

ここに会議の効用が見られる。もちろんメールや電話によるコミュニケーションは必要である。また会議においても、進捗などの確認において長い会議は無駄かもしれない。それでも会議という場を通じて、お互いがどのような様子で臨んでいるかは、人間同士なので伝わってくるものである。このコミュニケーションを大事にすることが場を創っていくともいえる。また、一方でもう一つ大事なことは、各個人に対して関心を持つということも重要な要素であるということを付け加えておきたい。いくら会議の効用といっても、お互いに関心を持たない中で時間を過ごしてももちろん新しい価値は生まれない。

最後に、個人的に斉藤一人さんという経営者が好きなのだが、彼に著書によれば、会社では会議でもほとんど仕事の話をせずに、お菓子やお茶をしながら無駄話や面白い話などをして一緒に楽しんで過ごしていると書かれていたような記憶がある。

もちろん仕事についての話しも大変重要だが、できるだけ楽しい会議、楽しい場づくりをすることも重要jな要素であると考えている。